コロナCOVID-19との闘い:ITU-T会合で完全バーチャル会議の採用
新型コロナウィルス(COVID-19)の感染が世界中で広がる中、ITU-Tでは、本年1月以降、SG15、TSAG、SG13、SG11の正式会合がジュネーブで開催されてきましたが、出国制限などのある国からの参加者のために、遠隔での会合参加を可能にする運用を行ってきました。しかし、3月11日に、WHO事務局長がこの感染拡大は「パンデミック」に相当するとの表明がなされ、イタリアをはじめ、欧州内での感染拡大対策が深刻な課題となってきました。3月12日にはITU事務総局長は、3月16日から一か月間、ITU本部建物への立ち入りを制限し、職員はテレワークとし、全ての会議を電子式による遠隔会議とする方針を示しました。
ITU-Tのセキュリティ課題を扱うSG17会合が、3月17日から25日まで、ジュネーブで開催される予定でしたが、このSG17会合を延期中止とするのではなく、電子会議ツールによるリモート会議として開催することを決定しました。このSG17会合はITU-Tで初めての完全バーチャル会議(Fully Virtual Meetingと呼び、ジュネーブのITU本部の会議室での物理的な参加は認められない)での開催となります。
今回のマエダブログでは、ITU-Tにおける遠隔会議の利用について解説します。
全バーチャル会議は、SG及びWPのオープニングプレナリーとクロージングプレナリーを含むSG 会合の全てのセッションを、Zoom等の対話型遠隔アプリによる会議とします。今回のSG17会合では、途上国からの会合参加支援のフェローシップはキャンセルされ、プレナリーでの会議言語は英語のみで行われ、国連公用語への同時通訳サービスは提供されません。
会議の運用に当たっては以下の指針が示されています。
- SG会合への参加は、事前にオンライン参加者登録した者のみが許可される。
- 全てのSG 会議で、遠隔地からの参加者は意思決定プロセス(Decision making process)に参加可能。
- 遠隔接続のツールとしてITUの提供するMyWorkspaceを使用。
- 遠隔会議ではネットワーク品質に依存することから、遠隔参加は「ベストエフォート」が方針であり、遠隔接続のオーディオ品質が十分でない場合、議長は、発言者を中断し、オーディオ品質の問題が解決するまで、発言機会を与えない。また、遠隔参加者の通話品質の問題を理由に会合を中止したり中断したりしない。
- 発言者は発言を行う際に、まず、自分の資格 (会員種別、またはSGでの役職) を明確にすること。
詳細は、遠隔会議参加のための会議議長や遠隔参加者の心得を記載したガイドライン文書「Supplement on guidelines for remote participation」が、ITU-TのAシリーズ勧告のサプリメント4(ITU-T A-series Recommendations – Supplement 4)として規定されていますので参考にしてください。