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TR-1109「V-HUB利活用ガイドライン~防災、消防システム等の新たな取り組みが効率的に連携するための最近の取り組み~」の制定(コネクテッド・カー専門委員会)

  TTC コネクテッド・カー専門委員会は、2025年2月20日に技術レポート「V-HUB利活用ガイドライン ~防災、消防システム等の新たな取り組みが効率的に連携するための最近の取り組み~」(TR-1109)を制定しました。

制定の背景

  TTCは、2014年6月よりスマートコミュニケーション・アドバイザリーグループのスマートカー・ワーキングパーティに「災害時ITS応用サブワーキングパーティ(SWP)」を設置し、災害時に車車間および路車間通信を用いて通信網を構築するために必要な通信方式の標準化に向けた作業を開始しました。この標準化作業は、火山噴火・地震・津波・台風・洪水など大きな自然災害リスクを共有する東南アジアでのレジリエントな社会システムの構築と運用を東南アジア諸国で実現すること、更にアジア発の標準化を目指すこととし、アジア・太平洋電気通信共同体(Asia-Pacific Telecommunity(APT))の標準化活動プログラムであるアジア・太平洋電気通信標準化機関(APT Standardization Program(ASTAP))を通じて進めることにしました。

  2015年4月にマルチメディア応用専門委員会スマートカー・サブワーキンググループ(SWG)、さらにコネクテッド・カー専門委員会継続され、ASTAPにて検討・審議を経てまとめ上げた勧告草案 “Standard Specification of Information and Communication System using Vehicle during Disaster”(略称:V-HUB)は、モンゴルの首都ウランバートルで開催されたAPT第42回管理委員会(MC-42: The 42nd Session of the Management Committee)で勧告化承認を得ました。

  次のステップとして、2021年度から一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)コネクテッド・カー利活用推進委員会と共同で、上述APT勧告をベースに、社会実装を進めるための考え方、導入可能性のあるシステム、手順等を記述した「利活用ガイドライン」策定しました。

 (1) TTC技術レポート

 (2) CIAJ標準規格

  • CES-0070-1「災害時の自動車を用いた情報通信システム(V-HUB)利活用ガイドライン
                                 車両活用防災システム 概要編」
  • CES-0080-1「災害時の自動車を用いた情報通信システム(V-HUB)利活用ガイドライン
                                 車両活用防災システム 運用編」

レポートの概要

  2024年1月には能登半島地震が発生し、道路が分断され、自動車が通れないため、救助や支援物資の輸送が滞りました。このことをきっかけに、災害時の自動車の利用は、安否確認など便利な面だけでなく、どの道路が通れるか、通れないかの情報を共有することで、救急救命活動や支援物資の輸送などを効率化することができることが明らかになりました。また、各地域の地理的要因や発生が予測されるハザード(災害の種類)によって、有効な対策が異なることも明らかになりました。

  そこで、自治体へのアンケートや先進的な事例を基に、災害時の情報通信技術利活用について、今回レポートをまとめました。

そのポイントは以下の通りです。

  • 自治体の規模、地理的要因によって、対象とする災害の種類を明確にする。
  • 当該災害に対して、自動車での避難や救急救命活動のための対策(駐車場の整備や推奨避難ルートの整備、公共防災車両の準備など)を行う。
  • 災害時の道路交通に係る情報は、単独の市町村のみではなく、関連する市町村など広域連携のスキームを検討しておく。
  • 自動車だけでなく、ドローンなど最新の情報通信技術を災害時に利用するためには、平時から防災訓練などを計画し、実行しておくことが有効である。
  • これらの取り組みについては、先進的な事例を調査し、情報共有を進めることが望ましい。

  情報通信技術の進展は早く、これらの活用については、専門の委員会や研究機関が発効しているガイドラインやレポートが参考になります。今後も、災害時の被害を軽減し、救急救命活動に貢献できるよう関連諸団体で連携していく所存です。