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TR-1097 「災害時の車両を用いた情報通信システム(V-HUB)利活用ガイドライン 車両活用防災システム 概要編」とTR-1098 「同 運用編」の制定(コネクテッド・カー専門委員会)

  コネクテッド・カー専門委員会は、2022年5月19日に技術レポート「災害時の車両を用いた情報通信システム(V-HUB)利活用ガイドライン 車両活用防災システム 概要編」第1版(TR-1097)と、「同 運用編」第1版(TR-1098)を制定しました。

制定の背景

  コネクテッド・カー専門委員会は「V-HUB」と呼ぶ「災害時に自動車を用いた情報通信システム」の標準化に取り組んできました。自動車は移動可能で、バッテリー、発電機能、情報通信機能等を持ち合わせているため、これを利用することを考えました。

この標準化作業は東日本大震災での教訓をもとに;

  • 火山噴火・地震・津波・台風・洪水など大きな自然災害リスクを共有する東南アジアでのレジリエントな社会システムの構築と運用を東南アジア諸国で実現すること
  • アジア発の標準化を目指すこと

との目標のもとに、アジア・太平洋電気通信共同体(Asia-Pacific Telecommunity(APT))の標準化活動プログラムであるアジア・太平洋電気通信標準化機関(APT Standardization Program (ASTAP))を通じて標準化作業を進めてきました。

  アジア・太平洋各国の協力を得てASTAPでの検討・審議を経てまとめ上げた勧告草案 “Standard Specification of Information and Communication System using Vehicle during Disaster”(略称:V-HUB)は、2018年10月にAPT勧告として承認されました。

  次のステップとして、その社会実装が必要とされています。

レポートの概要

  今回は、V-HUBの社会実装をより促進するために、一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)コネクテッド・カー利活用推進委員会と共同で策定することにしました。

  プロトコルの詳細(メッセージフォーマット、メッセージシーケンスなど)/適合性・相互運用性テスト/導入に向けた考え方/導入可能性のあるシステム/手順等を記述した「ガイドライン」となるように作成しています。また、自治体からのニーズを収集・整理するために実施したヒヤリングから得られた知見も含んでいます。

  ガイドラインは、2冊で構成されています。概要編では、自動車に実装する通信や給電の機能および電柱などを用いたITSスマートポールの要件とユースケースを示しています。運用編では、各自治体のヒアリングや公開情報を基に自動車での避難の基準や避難支援の考え方、防災訓練のシナリオを調査し、整理しています。

  各自治体の災害への対応方針は様々ですが、今回のレポートがその策定の上での一助になれば幸いです。