TR-1058「ICTソリューションハンドブック」の改定 (BSG専門委員会)
TTC BSG専門委員会は、2020年3月23日に技術レポート「ICTソリューションハンドブック」第4版 (TR-1058v4)を制定しました。
制定の背景
TTCは2007年にBSG専門委員会の前身である普及推進委員会を設置し、アジア・太平洋電気通信共同体(Asia-Pacific Telecommunity (APT)) の活動プログラムであるアジア・太平洋電気通信標準化機関(APT Standardization Program (ASTAP))に設置された標準格差解消エキスパートグループ (EG BSG) での討議に参加するとともに、アジアのルーラルエリアにおけるICTニーズや有用性を把握するため、APTパイロットプロジェクトに参画し3カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン)・5分野でICTソリューション実証実験を実施してきた。
これらの討議・ケーススタディを積み重ねていく中で、ICTソリューションをアジアのルーラルエリアに広く普及させるためには、他地域にも展開可能となるようルーラルエリア共通の要求条件や導入ガイドライン等を「ソリューション利用標準」として標準化し普及させる必要性があることを強く認識した。本技術レポートは、これらの活動を通じて得られた知見をもとにして作成されたものである。
レポートの概要
今回、新たなケーススタディ "Smart City Application" を追加した。
プロジェクトの背景
今日、スマートシティの概念は、学術研究、プロジェクト、および商業イニシアチブの橋渡しの鍵となり、都市生活における市民の生活の質(QoL)の向上に新しいICTサービスおよび製品が果たすことができる役割を探っている。ただし、スマートシティのさまざまな運用、アプローチ、定義が数多く存在し、スマートシティの概念についての議論が継続している。
スマートシティに関するICT政策の開発は、都市部に焦点を合わせることに限定されず、農村部にも適用する必要がある。スマートシティの都市政策開発は各国の政策決定と密接に関連しており、この点はe-農業、e-ラーニング、e-コマースなどの他のプロジェクトとは異なる。各国のスマートシティ政策決定に従ったスマートシティの適用に関する研究は、農村地域におけるスマートシティ適用のビジョンと政策を設計および実施するための効率的で包括的なガイダンスにとって有益なものとなる。
この目的のために、本プロジェクトでは各国の状況をアンケートにより収集し、スマートシティアプリケーションの実装と運用の基本原則を整理した。また、アンケートへの参加者間で、関連する知識と農村地域の理想的な状況に関して議論するワークショップを開催した。
プロジェクトの目的と範囲
- スマートシティのコンセプトとそれに関連する国際標準化活動の紹介
- アジア太平洋地域におけるスマートシティの適用事例研究に関する調査とワークショップの評価
- スマートシティに関する政策立案の実施と運用のガイダンス
なお、本レポートの内容は、2019年6月に開催されたASTAP-31で "Handbook to Introduce ICT Solutions for the Community in Rural Areas” (APT/ASTAP/REPT-13(Rev.2))に追加することが提案・承認され、(APT/ASTAP/REPT-13(Rev.3))として制定された。
APTホームページより参照可能である。(https://www.apt.int/APTASTAP-OUTCOMES)