TR-1083 「NETCONFに関する技術報告書」の制定 (企業ネットワーク専門委員会)
企業ネットワーク専門委員会では、2019年度の活動で、TR-1083「NETCONFに関する技術報告書」を制定しました。(2020年3月5日制定)
TR-1083の概要
これまで、ネットワークの状態可視化には、広くSNMP (Simple Network Management Protocol) が使用されてきた。しかし、SNMPの最新バージョンであるSNMPv3は1999年に登場したレガシーなプロトコルであり、様々な課題を持っている。そのため、IETFでは2001年頃から継続してSNMPに代わるネットワーク管理プロトコルの議論が行われている。
2001年当時から言われているSNMPの課題のひとつは、SNMPは装置の状態取得に使われることが多く、装置の設定に関してはサポートされている機能が少ないという点である。例えば、SNMPはトランザクションの仕組みを持っておらず、設定の妥当性の確認やロールバックといったことができない。また、バイナリベースのプロトコルであり、プログラマがあまり親しみのないSNMP独自のプロトコルを理解しなければならないため、独自のMIBに対して操作を行うことへの敷居がやや高いという課題もあった。
これらの課題を解決するために、IETFでは2002年頃からSNMPに代わるネットワーク管理プロトコルとして、NETCONF/YANGの標準化が進められてきた。
NETCONF/YANGは、近年の大規模データセンターの普及でネットワークの仮想化が進んだことにより、より柔軟にネットワークを運用管理が可能な技術として、SDN (Software Defined Networking) やNFV (Network Function Virtualization) で利用されるようになった。国内では一部の機器がNETCONF/YANGをサポートしているのみであるが、海外ではCiscoやJuniper Networksといった大手ベンダを始めとして、既に多くのルータベンダがNETCONF/YANGをサポートしている。
また、最近の議論では管理対象デバイスから管理装置にYANGデータをプッシュする、YANG pushの議論も進んでいる。2020年2月現在、YANG pushのRFCは一部を除きまだドラフトの状態であるが、改版は進んでおり標準化も近いと予測される。
本報告書では、NETCONFの最新仕様であるRFC6241「Network Configuration Protocol (NETCONF)」のセクション1からセクション8について、日本語に翻訳している。翻訳文中に出てくる付録については、本報告書の翻訳対象外のため、RFC6241の原文を参照されたい。