SDGｓ活用セミナー「ICTはいかにSDGｓに貢献できるか？」開催報告

  SDGｓ(Sustainable Development Goals)は、2015年に国際連合が採択し、気候変動対策や再生エネルギーの普及、経済成長、貧困の解消など持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、2030年までに世界各国が達成を目指す国際目標です。

  日本でも2015年９月開催のSDGsが採択された国連サミットにおいて、 安倍総理がSDGsの実施に日本として最大限取り組む旨を表明し、12月に国家戦略「SDGs実施指針」を策定し、日本の文脈に即して再構成した８つの優先分野を設定しています。

  さらに、ESG(E:環境、S:社会、G:ガバナンス)投資の考え方が、この2～3年の間に日本国内の投資家の間でも着実に根付き、SDGsに関する企業の取り組みを知りたいという投資家のニーズがますます高まってきています。しかし、企業のCSR報告書やアニュアルレポートにおいてSDGsと紐付けた説明や、その効果を十分に開示する企業が限られているのが現状です。

  こういった国内外の動きは無視できない状況であり、社会的な課題解決が事業機会と投資機会を生むとして、SDGsへの貢献は、今後ますます重要となってきます。本セミナーでは、SDGsをいかに経営と融合させ、戦略的に活用・実践していくか、SDGs達成に向けてICTをどのように活用すべきか、等、採択された背景と現状、投資家の国内での動きについて解説するとともに、企業の取り組み事例などもご紹介しました。

  開会の挨拶で、総務省 国際戦略局 情報通信政策総合研究官 飯田陽一氏は「来年のG7、G20でSDGsを一つのテーマとして掲げたい。ICTの分野でSDGsをいかに達成していくのか具体化していきたい。企業の先進的な取り組みを通じて議論をしたい。今回のセミナーは非常に有意義である」と本セミナーと参加企業に対する今後の取り組みへの期待を述べられました。

  富士通株式会社 端谷隆文氏は、いち早くSDGsに対応したITU-Tの動向等をお話いただくとともに、企業がSDGs17のゴールへのマッピングを検討するにあたり、参考になるmapping toolについて詳しく解説いただいた。さらに、富士通の最先端の事例（食のクラウドサービス、つながる医療、グローバルデータベース等）を紹介するとともに、東北大学と進めている津波対策のためのシミュレーションのデモをご披露いただきました。

  年金積立金管理運用独立行政法人 塩村賢史氏は、100年後を視野に入れた年金財政を維持するためにSDGsを考慮していると述べるとともに、4つのESG指数を採用した背景や経緯の詳しい解説を通じて、グローバルにおける日本の立ち位置を示されました。また、参加企業の大半を占める情報通信業界がESG投資に対応するためには、エネルギー関係だけに着目するのではなく本業の中での貢献を目指すべきと述べられました。

  株式会社日立製作所 武田晴夫氏は、日本工学アカデミーSDGsリーダーとして国際会議に参加された経験から、SDGsに関する最新の国際動向を述べるとともに、3大標準機関ISO,IEC,ITUにおけるSDGs戦略構築に関する最近の動向をグラフで具体的に示されました。一方で、従来の標準化の流れではなく、技術がない段階で国際標準ができ、それに従ってメーカーが開発するというパラダイムシフトが起きている点にも触れ、従来の標準化専門家だけに閉じるのではなく国際ルール形成を支える人材育成にも着手していきたいと述べられました。

  閉会の挨拶では、一般社団法人情報通信技術委員会 前田洋一からSDGsに基づきTTCの今後の取り組みを整理したことを報告するとともに、TTCが新たなルール作りの場をご提供するなど参加企業のお役にたっていきたいと抱負を述べました。

  多数の方のご参加をいただき誠にありがとうございました。アンケート結果等を踏まえ次のセミナー等を企画してまいります。

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プログラム

司会：金子 麻衣（TTC事務局）

セミナーの様子