ITU AI/ML 5Gチャレンジへの参加のお誘い
ITU-Tが企画する5GネットワークにAI/ML(Artificial Intelligence/Machine Learning:人工知能/機械学習) を活用して様々な問題解決を競う国際的なコンペティション(以下、「5Gチャレンジ」)が開催されています。予選コンペとなる日本におけるグローバルラウンドは、電子情報通信学会の通信ソサエティにおけるRISING(超知性ネットワーキングに関する分野横断型研究会、委員長:中尾 彰宏 教授(東京大学))のホストによる実施が決定され、TTCは5Gチャレンジイベントの日本ラウンドを後援するとともに、日本ラウンド事務局の構成メンバーとして参画しています。
本ブログでは、5Gチャレンジの概要と参加への案内情報を提供します。
内容
- 5Gチャレンジのねらい
- 5Gチャレンジへの参加
- 5Gチャレンジのイベント形態
- 5Gチャレンジの主な日程
- 課題設定と技術トラックとデータ
- 課題設定のプレゼンテーション
- その他のお役立ち情報
5Gチャレンジロゴ(https://www.itu.int/en/ITU-T/AI/challenge/2020/Pages/default.aspx)
1. 5 Gチャレンジのねらい
AI/ML は注目の主要技術であり、社会の隅々に影響を与えると考えられています。特に、AI/MLは社会の生命線となるコミュニケーションネットワークが今後どのように活用され、運用されるかの将来像を形作ります。ICT分野の多くの企業がAI/MLの活用方法を模索している中で、ITU-Tでは、通信ネットワークにAI/MLを適用するためのツールキットの一部を4つの勧告(ITU-T勧告Y.3170シリーズ(Y. Sup 55、Y.3172、Y.3173、Y.3174)として既に承認しています。TTCでは、これらの勧告についてはNetwork Vision専門委員会で審議しています。これらの標準化作業を踏まえ、ITU-TのMLアーキテクチャを5 Gネットワークに適用する方法を検討するために、ITU主催による国際的な5Gチャレンジイベント「ITU AL/ML in 5G Challenge」を実施することとなりました。
今のところ5Gチャレンジのスポンサーとして、「シスコシステムズ」、推進パートナーとして、LF AI Foundation (Linux Foundation) 、SGInnovate (シンガポール) 、NGMN (次世代モバイルネットワーク) が登録されています。
2. 5 Gチャレンジへの参加
5Gチャレンジへの参加者は、ITU-Tが標準化したAI/MLツールキットを5 Gネットワークに適用することにより、5 GネットワークにおけるAI/MLモデルの能力をフルに発揮するエンドツーエンドソリューションを開発することが要求されます。参加者は1~4名でチームを構成し、5 Gに関連する分野でAI/MLの実践作業(hands-on)を行うことが期待され、MLモデルを作成し、訓練し、展開することが要求されます。
5Gチャレンジの参加は無料です。参加資格は、 ITU加盟国のすべての個人が参加可能で、「学生」 と 「プロフェッショナル」 の2つのカテゴリーがあります。「学生」には専門家による学習指導(メンタリング)が提供される特典があります。
3. 5 Gチャレンジのイベント形態
5Gチャレンジのイベントは、予備選となる「グローバルラウンド」と最終選考の「ファイナルカンファレンス」の2段階で構成されます。優秀賞の選考は5Gチャレンジの運営を司るチャレンジ管理委員会で評価指標を調整したうえで、専門家により構成される審査委員会で行われます。
「グローバルラウンド」: 各地域や各国の機関・団体がホストとなり、ローカルで運営されます。各地域のグローバルラウンドで選考された上位3チームの優秀作品が、ファイナルカンファレンスに招待され、最終選考に臨みます。
5Gチャレンジのイベントは、予備選となる「グローバルラウンド」と最終選考の「ファイナルカンファレンス」の2段階で構成されます。優秀賞の選考は5Gチャレンジの運営を司るチャレンジ管理委員会で評価指標を調整したうえで、専門家により構成される審査委員会で行われます。
「グローバルラウンド」: 各地域や各国の機関・団体がホストとなり、ローカルで運営されます。各地域のグローバルラウンドで選考された上位3チームの優秀作品が、ファイナルカンファレンスに招待され、最終選考に臨みます。 グローバルラウンドの発表などは現地語(日本語)で開催することが可能です。
グローバルラウンドを開催する予定の地域は以下のとおりです。中国ラウンドでは、既に300を超えるチームが登録されているようです。
- 中国(AIIA:Artificial Intelligence Industry Alliance)
- スペイン(BNN-UPC:Barcelona Neural Networking Center、UPF:Uniseritat Pompeu Fabra)
- ブラジル(UFPA:Universidade Federal do Para)
- 米国(NCSU:North Carolina State University)
- 日本(RISING)
- インド(Indian Institute of Technology, Delhi)
「ファイナルカンファレンス」: 各地域のグローバルラウンドからの優秀者が招待され、オンラインで、英語によるデモとプレゼンテーションが行われ、優勝者を決定し、表彰式典が行われます。 当初はスイスのジュネーブでの開催が予定されていましたが、コロナ禍の影響を考慮しオンライン開催となりました。
4. 5 Gチャレンジの主な日程
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参加申し込み締切: 2020年7月31日(募集は4月から開始済み)
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グローバルラウンド: 2020年5月~10月
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ファイナルカンファレンス 2020年11月または12月(オンライン開催)
5. 課題設定と技術トラックとデータ
5 G チャレンジの参加者は、AI/MLを活用して解決する課題設定・ユースケース(Problem Statement)の選定をしなければいけません。ユースケースは、ITU-Tの勧告Y. Sup 55から引用することもできますし、新しいユースケースに取り組むこともできます。参加者には、オープンソースの実装提案を提出することが推奨されますが、独自の実装に基づくソリューション提案も受け入れられます。
5Gチャレンジの課題設定には4つの技術トラックがあります。
- ネットワーク・トラック:ネットワークでのユースケースのための実装
- イネーブラー・トラック:ネットワークを活用したエンドツーエンドの実装
- バーティカル・トラック:垂直市場と5Gを組み合わせたアプリケーションの実装
- ソーシャルグッド・トラック:国連のSDGsに寄与する社会的応用の実装
問題解決に必要なデータセットについては4種類のデータタイプがあります。トレーニングデータやテストデータにアクセスするためには、様々なセキュリティレベルに対処するためのデータプライバシーが適用されます。
- 実データ: オペレータからの匿名化、安全処理化されたネットワークデータ
- オープンデータ: インターネット上で自由に利用できるオープンデータ
- 合成データ: シミュレーションによるデータ
- データなし: 関連する問題解決に必要なデータがない場合
参加者が作業する課題設定は、4つのデータタイプが4つの技術トラックにマッピングされます。
表: データタイプへの技術トラックのマッピング
6. 課題設定のプレゼンテーション
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課題設定やユースケースの選定に参考となるプレゼンテーションが順次公開されており、ITUのWebセミナーで紹介されるとともに、プレゼンを見ることができます。
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今までに公開された課題設定については、スペインBNNCからは、グラフニューラルネットワーク、ブラジルのUFPAからは、ミリ波MIMOを用いたビームフォーミングに適用される機械学習、等が公開されています。
7. その他のお役立ち情報
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5G チャレンジに関する参加者のガイドライン詳細情報は、次のITUのホームページのURLから入手できます。
https://www.itu.int/en/ITU-T/AI/challenge/2020/Pages/default.aspx -
5G チャレンジに関する追加情報および質問については、以下のITUの5Gチャレンジ事務局にお問い合わせください。
ai5gchallenge@itu.int -
5Gチャレンジへの応募方法
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2020年7月31日までにITUに最終登録。
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但し、2020年7月15日までに課題設定(Problem Statement)をITUに提出。
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予備選となるグローバルラウンドの日本ラウンドへの参加については、日本のRISING事務局(https://www.ieice.org/~rising/AI-5G/)にお尋ねください。
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10月下旬に 「グローバルラウンド」 において、各地域ラウンドでの優秀提案(上位3位)が選定され、2020年11月または12月の最終オンライン会議での発表会を経て、最優秀解決策が選定、表彰されます。
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皆様の5Gチャレンジの日本ラウンドへの参加をお待ちしています。