平成31年 新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。昨年中は、皆様の格別のご厚情を賜り、ここに改めて厚く御礼を申し上げます。
本年は「平成」最後の年となりますが、1985年創立のTTCにとっては、その30年間に及ぶ活動は、ほぼ平成時代の30年の歴史とともに歩んできたと言えます。改元を迎えるにあたり、新たなTTCの発展を祈る想いで新年を迎えました。
TTCは発足以降、通信自由化によるマルチキャリア相互接続、インターネット・モバイルの飛躍的発展、通信のグローバル化において、情報通信ネットワークの発展に寄与してきました。現在は、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、AI(人工知能)といった社会の在り方に影響を及ぼす新たな技術がさまざまな分野で活用され、「デジタルトランスフォーメーション」による既存事業のデジタル化からデジタルを活用したビジネスモデルへの転換を意味する新しいビジネスやICTサービスの展開が本格化しています。
「デジタルトランスフォーメーション」により、ICTの役割が「業務改善のツール」から「価値創造のツール」へと変化し、新しいビジネスモデルの創造や社会全体のスマート化に貢献することが期待されています。
これらの技術革新によって、新しいサービス提供者が市場に登場するとともに、既存のサービス提供者は、時間をかけて社内で開発を行う自前主義から脱却し、迅速に新サービスを打ち出す方策である「オープンイノベーション」の導入が求められています。
このような状況の中で、新しいビジネスを創出し、そのグローバル展開を加速させる手段として、国際標準の活用は、ますます重要性を増していると思います。事実、ITU-TにおいてもAI、分散型台帳技術、量子通信などを活用した新しいビジネスにつながるICTサービスの議論が進展しています。また、標準化活動の範囲は、従来の標準文書を作成するだけでなく、「オープンイノベーション」を技術面・ビジネス面から支えるあらゆる活動に広がっています。そして、関わるプレーヤーについても、従来のICT関連のインフラ技術面だけでなく、アプリケーション関連技術とビジネスの両面から価値創造・事業戦略を企画する方々へと広がっています。
TTCは、情報通信分野において日本標準を策定する標準化機関として、また、ITU-Tへの標準化アップストリーム活動における日本国内での対処審議の場としての役割を果たすことでITU-Tへの標準化活動の一層の活性化を図るとともに、他のデジュールやフォーラム、デファクトの標準化組織との一層の連携強化、各種ICT利用分野とICT分野の交流強化を図るなど「オープンイノベーション」を推進する活動の中で、タイムリーな標準策定を行うことに努めて参ります。
さらに、国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けて、国内外問わず企業が果たす役割はますます高まっており、TTCでも、社会課題の解決に向けて時代の流れを先取りする議論を行ない、的確な標準化テーマの設定、国際標準化を推進するとともに、ICTを活用した事例の創出・展開等その普及活動の推進に貢献したいと考えています。
会員の皆様に積極的にご参加いただき、皆様の知力と感性を磨いていただく中で、新しい価値や戦略、ビジネスモデルを見出すことを支援し、見出した戦略に基づくビジネス展開のうち協調・共創が必要なものについては積極的に支援していきたいと考えています。
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。本年の皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたします。