新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。昨年中は、皆様の格別のご厚情を賜り、ここに改めて厚く御礼を申し上げます。
本年は「戌年」、ドッグイヤーです。技術とサービスのイノベーションのテンポが急加速される中で、TTCは、新しい時代の潮流を捉え、会員の事業展開や我が国の国際競争力の向上に貢献できるよう、情報通信サービスに関する標準化関連の活動に全力を尽くしていく所存です。
近年、世界的にビッグデータ、IoT(Internet of Things)、AI(Artificial Intelligence)などのICT(情報通信技術)の活用により、現実世界と仮想世界との融合による変化が着実に進み、全産業界においてデジタル化による転換(これを「デジタルトランスフォーメーション」と呼ぶ)が注目されています。ICTの役割が「業務改善のツール」から「価値創造のツール」へと変化し、新しいビジネスモデルの創造や社会全体のスマート化に貢献することが期待されているのです。
情報通信や製造分野では、ネットワークや製造プロセスの最適運用や故障予測など、データ活用による新しい価値創造の可能性が高まっています。また、金融や物流におけるデジタル化により、ビジネスモデルや人の働き方にも新しい発想が生まれています。人とコンピュータの協働の中で、人には価値発見に向けた課題設定やデータを上手に活用し価値創造に結びつける仕組みづくりという新たな能力が求められるでしょう。
価値創造手法の一つとして「デザイン思考」というアプローチが注目されています。最大のポイントは、多様な価値観を有する人々の存在とスピード感です。これらの人々がチーム内で協力し、課題発見からプロトタイプ構築までを短期間で行い、顧客や社会の反応を見て更なる軌道修正を図る、という一連のプロセスを高速回転させながら新たな価値を創造するアプローチです。自前主義では限界があり、顧客企業を始めとする他社との協働、価値創造とその実現を推進するプロデューサー的人材の登用、社内スキルの管理と社内横断的なフル活用、オープンなエコシステム構築を推進する体制整備などが必要となります。
このような大きな転換が起こっている時代では、我々標準化機関の役割も、「技術や社会の変化を先取りする場」、「他社との協働の可能性を拡げる場」、「新たな領域との交流・連携を進める場」を担うことに変化していると考えています。
標準化活動とは、標準文書を作成することだけでなく、これらを含むあらゆる活動であり、その成果物は、得られたあらゆる知見、発見、情報を指し、関わるプレーヤーも、技術とビジネスの両面から価値創造・事業戦略を企画する方となっていくでしょう。
TTCとしては、会員会社の皆様が積極的にこの場に参加し知力と感性を磨く中で、新しい価値や戦略、ビジネスモデルを見出すことを支援し、見出した戦略に基づくビジネス展開のうち協調が必要なものを支援していきたいと考えています。
特に、①多様なサービスへ柔軟に対応できるネットワーク、②セキュリティ・トラストの確保、③効率的なサービス構築・安定した運用を支える標準化、④最新技術や先進事例等の情報発信や異業種連携、⑤これらの活動や国際会合を通じた若手を含む人材育成、などの側面から、会員の皆様の「デジタルトランスフォーメーション」に対応する事業活動を支援していきたいと考えています。
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。本年の皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたします。