「デザイン思考とは何か?」フロントランナーによる解説ビデオ完成
1月13日午後、一橋会館において、「デザイン思考が切り拓くIoT活用によるビジネス革新と価値創造~求められる新しい発想法と開発手法~」と題するNICTとTTCとの共催セミナーを開催し340名を超える多数の方の参加をいただきました。大変ご好評を頂いたことから、「デザイン思考」の要点について、講演者のご協力を得まして、インタビュー映像で解説しましたので、公開させていただきます。
ビデオは、TTC事務局長・稲田氏の「デザイン思考とは?」の解説ビデオと、セミナーでご講演をいただいた小松原様、吉川様、山口様、柴崎様のインタビューで講演の要旨を解説いただいたものをまとめて編集してあります。
稲田氏の解説によれば、デザイン思考は、デザイナーの感性と手法を用いて顧客価値と市場機会の創出を図るアプローチです。多様な知恵を結集して仮説を立て、迅速にプロトタイプを構築し、顧客や社会の反応を見ながら新たな価値の創造につなげるという方法論が、IoT活用によってビジネスを革新し、新たな価値を創造するプロセスに適したアプローチと考えられているからです。
また、IoT活用においては、価値をどう実現するか(how)ではなく、新しい価値が何か(what)を考えることが重要です。しかし期待通りの成果につなげるには、従来と異なる考え方や開発手法が求められ、本セミナーでは、これを明らかにするため、米国シリコンバレーに開発拠点を置く企業における、デザイン思考の活用による企業文化の変革とその成果、デザイン思考を活用するために求められる発想法、デザイン思考に基づくイノベーション創出への取り組みや具体的価値創出法、開発手法へのインパクトなどについて議論いただきました。
デザイン思考を活用すれば、ユーザとの共感をベースに、短時間でプロダクトやサービスを作り上げることが可能になり、組織の創造性向上や活性化につながる、企業活動をイノベーティブなものに変え、持続可能性を高めるためになくてはならない手法であり、「イノベーションはきちんとマネージされたプロセスと方法論を通じて創出可能である」と考える経営者が増えています。近年、日本でも、本セミナーでご講演頂いた企業や大学でも積極的な活用が始まっています。
デザイン思考は、プロダクトのデザインだけでなく、サービスやビジネスプロセスのデザインなど幅広い活用が期待されるため、昨今のIoTを活用したイノベーション、新規事業の実践に親和性の高い考え方、方法論と言えます。TTCにおいてもデザイン思考を活用したIoTイノベーションの創造に貢献できる色々な企画にチャレンジしていきたいと考えています。
TTCが関係しているICT標準化分野での今年のホットトピックは、IoT、5G、Security/Trustの3本柱と考えられており、TTCではこれらの国内と国際における検討を推進するための事業を行っていきます。IoTの標準化では、サービスやアプリケーションレイヤ、ネットワークプラットホームレイヤ、アクセスエリアネットワークレイヤのそれぞれにおいて、様々な標準化機関が検討を行っています。
TTCでは、今までエリアネットワークやコアネットワークでのデジュール標準化を中心に展開してきましたが、近年では、oneM2Mでのパートナーシッププロジェクトのフォーラム系標準やITU-T SG20などのサービスアプリケーションに関わる検討に深くかかわっており、今後は、ITU以外の標準化団体やフォーラム系標準との連携も強化していく必要があると考えております。5GはIoTを支える最新のネットワークソリューションの一つと位置付けられると考えます。
個別技術の標準化議論の前に、新たなビジネス創造に貢献できるよう、サービスアプリケーションレイヤの検討を拡大し、様々なフォーラム標準への対応もできるよう、IoTイノベーション推進機能を強化するための体制を検討しており、日本国内の官民一体となったIoT推進コンソーシアムにおける特に総務省の扱うスマートIoT推進フォーラムの活動にも貢献していきたいと考えております。TTCには情報通信ネットワークの標準化に関する様々な技術分野を扱う専門委員会の体制がありますが、IoTイノベーション推進を通じて発見された新規課題を速やかに標準化の議論に反映することに貢献できればと考えております。
今後、どういった議論がTTCに期待されるかについては、皆様方のご意見を踏まえ新たな企画に挑戦していく予定ですので、ご要望をお聞かせいただければ幸いです。