第8回CTOグループ会合
ITU-TのTSB局長(Chaesub Lee氏)が主催し、ICT産業界を代表する民間企業の技術責任者(Chief Technology Officers)の集まりであるCTO グループ会合(以下、CTO会合)が、11月13日(日)の午後、タイの首都バンコクのIMPACT(国際展示場)で開催されました。11月14日から17日まで、ITU テレコム2016が同会場で開催される機会を活用して、CTO会合はテレコムの開会式前日に開催されました。
今回のブログでは、CTO会合でのICT産業界が高い関心を寄せる今後の標準化課題に関する議論模様を紹介します。今回のCTO会合は、WTSA-16(10月25日―11月3日;チュニジア開催)の直後ということもあり、WTSA-16の主要結果のレビューと5Gに関する標準化の技術課題と今後の展開戦略が主要トピックとなりました。なお、WTSA-16の主要結果については、11月7日号のマエダブログに掲載していますのでご覧下さい。
CTO会合は、2008年のWTSA-08の決議68で、WTSA-16でも継続決議となったTSB局長に課せられたアクションの一つで、標準化の優先課題を議論し、今後の国際標準化活動の効率化を図るための意見交換の場です。CTO会合はITUテレコムと併催の定例イベントとなっており、今回は第8回のCTO会合となります。
CTO グループには30社以上の登録がありますが、今回は7か国13組織(表1)の代表者とITUからITU-T局長とITU-R局長、およびTSB幹部が参加しました。私は、2017-2020年新会期におけるTSAGの標準化戦略ラポータグループのパネルメンバーとして新たに指名され、Lee局長より招待を受け、今回のCTO会合に参加しました。また、5Gに関する議論のためにFG-IMT-2020の副議長も参加しました。
5Gは、WTSA-16でも重要な課題であり、新決議として、ITU-Tで5Gの無線以外の課題推進を図ることが決議されました。今回のCTO会合では、5G(IMT-2020)システム技術の開発が共通の関心であり、今後の標準化戦略に関する意見交換が行われました。
CTO会合では、5Gの標準化ギャップ分析検討を行っているフォーカスグループ「FG-IMT2020」から報告があり、主要課題としては、網アーキテクチャ、固定無線統合、SDN(Software Defined Networking)、エンドーツーエンド網管理、情報中心型ネットワーキング(ICN)などの検討が行われていることが示されました。このFGは本年12月に終了し、2017年から関連SGにおける5Gの本格検討を推進していく予定です。
CTO会合では、5Gの標準化戦略として、5Gシステムのアーキテクチャとコアネットワークについては3GPP、固定移動網の統合化についてはBBF、NFV(Network Function Virtualization)やMEC(Mobile Edge Computing)についてはETSIなどとの連携、さらにITU-RでのIMT-2020との連携が重要であることが認識されました。さらに、TSB局長からは、5G技術とアーキテクチャの検討に当たって、ITUと「NGMN Alliacnce」とが協力のための覚書を締結し、今後、標準化において連携していく方針が示されました。
CTO会合では、ICT業界が提供する共通のネットワークプラットホームの上で、様々な異なるサービスが提供できるようにするために、グローバル標準化により、ICT業界と他の業界との協力が図れるようにすることが重要であるという認識が共有されました。そのために、自動車、ヘルスケア、電力供給などバーティカル業界の要求条件を把握することが重要であり、業界横断的な連携を図るために、今後、新たな業界の幹部を招いたCTO会合を開催していくことが提案されました。
以上、今回のCTO会合でのトピックの概要を解説しました。CTO会合での合意はCOMMUNIQUÉ(共同声明)としてまとめてありますので、より詳細な内容に関心のある方はご覧下さい。
最後に、プミポン・アドゥンヤデート国王が、10月13日、バンコクの病院で88歳の生涯を終えられました。タイ国民の皆様に対しまして謹んでお悔やみ申し上げます。タイ国内の喪に服した様々な行事は一年にかけて執り行われるようですが、一か月を経た時期ではありましたが、市内の大きな広告掲示板は派手な色合いは抑えられ、黒色をベースとした掲示版に変更されていました。ホテルのTVチャンネルの多くも、国王の偉業をたたえる特別番組を放送し、番組画面はモノクロームに近い色調に処理されていました。
表1 第8回CTO会合参加組織
No.
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企業・団体名
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国名
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1
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Cisco Systems
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アメリカ
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2
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Ericsson
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スウェーデン
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3
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Fujitsu
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日本
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4
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Huawei Technologies
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中国
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5
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KDDI
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日本
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6
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KT Corporation
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韓国
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7
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NEC
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日本
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8
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NICT
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日本
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9
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Nokia
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フィンランド
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10
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NTT DOCOMO
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日本
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11
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Trace Media-Telecom Review
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UAE
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12
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TTC, TSAG RG-SS
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日本
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13
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ZTE
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中国
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14
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ITU
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