『CEATEC JAPAN 2016』展示会を終えて
国内における最先端IT・エレクトロニクスの総合展示会である『CEATEC JAPAN 2016』(シーテックジャパン2016)は、2016年10月4日(火)より7日(金)までの4日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)にて開催され、報道によれば、出展者数648社/団体(前年比22.0%増)、登録来場者数145,180人(前年比9.1%増)を記録して無事閉幕しました。
TTCは本年も協賛団体の一社として参加するとともに、HATS PLAZA(HATS:Harmonization of Advanced Telecommunication Systems)内にTTC展示ブースを設置し、TTCの標準化活動の紹介を行いました。HATSの関係者には大変にお世話になりました。
「モノ」の本質が変化し始めている今、ネットワークとの接続機能や処理能力を兼ね備えた「モノ」である「IoT:Internet of Things)」が生まれ、新たな価値を生み出そうとしています。IoT により、多様なデータ・情報が集まり、分析結果が現実世界にフィードバックされるサイバーフィジカルシステム(CPS:Cyber Physical Systems)の概念を基盤とし、CPS/IoTは、あらゆる産業において、新たな価値創造を通じて、従来の産業構造とビジネスモデルに大きな変革をもたらし、社会自体も変化しようとしています。
今年のCEATECは、「CPS/IoT」を前面に出し、業種や産業を超えた連携による事業創出や世界各国との政策連携なども含めた「共創」を生み出す場として企画され、「つながる社会、共創する未来」をテーマに開催されました。
10月3日(月)夕方にはパレスホテル東京(千代田区丸の内)にて、CEATECのオープニングセレモニーが開催され、開会にあたり最初に安倍晋三首相が挨拶をされました。CEATECの式典に首相が出席されたのは初めてです。首相は挨拶の中で、「IoT」を成長分野としてとらえ、「新たな挑戦をサポートするために必要な改革を断行」、「日本の技術を発信し、第4次産業革命をリード」、「IoTに関して日本政府は米独と連携し、3カ国が産学官でIoTを牽引」という考えを示されました。また、メルケル首相と安倍首相との首脳会談により、「IoTの世界標準獲得に向け日独連携を加速することとし、来年3月ハノーバーで開催のドイツの情報通信関連の展示会「Cebit」に日本パビリオンへの出展」を呼びかけ、参加企業の幹部に対して激励メッセージを送られました。
近年では、国内大手家電メーカがCEATEC出展を見送るなど厳しい環境が続いていますが、今年は日立製作所が4年ぶりに出展したほか、パナソニックやトヨタ自動車など国内主要各社がIoTをテーマに出展しました。さらに、「IoTタウン」と呼ぶ異業種の企業が集まって、金融とITを組み合わせたフィンテックや、テロ対策や観光案内などIoTを活用した新サービスを提案していました。また、新規事業やオープンイノベーションの観点から注目が高まるベンチャー企業の参加も増加したように感じました。
2015年6月30日に政府が出した世界最先端IT国家創造宣言では、我が国の国民一人ひとりがITの恩恵を実感できる世界最高水準のIT国家となるために必要となる政府の取組等を取りまとめています。その中で、(1)IT利活用の深化により未来に向けて成長する社会、(2)ITを利活用したまち・ひと・しごとの活性化による活力ある社会、(3)ITを利活用した安全・安心・豊かさが実感できる社会、(4)ITを利活用した公共サービスがワンストップで受けられる社会を実現するための取組が示されています。このITを支える技術が「IoT」であり、これらの成果がCEATECでの製品やサービス展示に反映されていくと期待されます。
TTCでは、これまでの標準策定やグローバル標準化といった標準策定機能とは別に、ICT業界と利活用業界の連携による具体的なビジネス展開を支援する機能としてIoTイノベーション推進機能を、業際イノベーション本部に設置することで、フォーラム標準化提案も含めた国際競争力向上をはじめ、業界横断的なICT利活用やIoTによるイノベーションを推進します。具体的には、業際イノベーション本部において、皆様の提案による「IoTワーキングパーティ」を設置することを可能にし、ICT業界と利活用業界が連携した具体的なビジネス展開を支援することで、皆様の新規事業、IoTビジネス推進に貢献したいと考えております。IoTワーキングパーティ活動について関心のある方はTTCへのお問い合わせをお願い申し上げます。
TTCでは、スマートシティ&コミュニティ(SC&C)の実現に寄与する標準化活動を推進しており、ITS(コネクテッド・カー)、アクセシビリティ、e-Healthなど各業界のイノベーションを支援するため、ICT活用アプリケーション分野関連課題の検討体制を強化しています。「IoT」課題を扱うITU-T の研究委員会SG20に対する検討についてはIoT/SC&Cアドホックを立ち上げ、TTCの各専門委員会の合同アドホックとして情報共有と議論の連携を図っています。
CEATECでのTTC展示コーナーに来場された皆様はもとより本ブログをご覧下さった皆様には、これからのスマート社会、IoT、5Gモバイルを含む将来のモバイルネットワーキングに関する技術動向の把握と関連する標準化活動にご参画頂けるよう、TTCへの会員加入をご検討いただければと思っています。
TTCでは、今後ともIoT/M2Mや5Gモバイル、IICの最新動向等のホットトピックを紹介するセミナーを計画しており、参加申し込みを開始しております。是非ご参加ください。