第13回SHARE会合(ベトナム)開催 ・ ホーチミン市のタクシーWi-Fi
TTCのマルチメディア応用専門委員会のスマートカーSWG(検討グループ)では、「クルマがあらゆるモノをネットワークにつなぐハブになる」をキャッチフレーズに、クルマを含む次世代移動通信網に関する課題抽出、次世代のモビリティネットワークサービスの検討を行っていますが、SWGが提唱しているVehicle Hubs(災害時に車を通信インフラのHubsとして活用する)構想に似た形態が、通信の実現手段は異なるものの、開発途上国で商用化されている現実を見て、災害時だけではなく、平常時での活用を含めた検討が必要であることを再認識させられました。
私は通常の海外出張では、日本の通信会社との契約での海外パケット通信を利用しています。出張国によっては、日本との提携キャリアが無く、通信手段の確保が難しかったり、データ通信利用がとても高額になる場合があります。それが、ユーザにとっては気にすることなく、移動する車の中で無料Wi-Fiにアクセスできる環境が普段から当たり前に得られるようになると、ユーザの通信への要求は多様化し、既存の通信ビジネスとしてはより厳しい競争環境が次々と出てくることを予感させられるとともに、我々が検討を進めるVehicle Hubs構想は意外とスムーズに社会に受容される可能性を感じました。
今回の出張目的であるSHARE会合については、今までのブログでも何回か解説しておりますが、TTCでは、標準化格差是正(BSG)専門委員会において、アジア各国と連携しながら、情報格差や貧困など社会的課題をICTにより解決するICTソリューションを推進し、新興国に特化した利用条件の標準化への反映を図る活動を行っています。2007年より、普及推進委員会を設立し、アジア地域の5か国(インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ、ベトナム)と連携してAPTプロジェクトに参画し、過疎地域における医療、教育、農水産業、環境などの社会的課題をICTにより解決するICTソリューションのパイロットプロジェクトを実施し、その成果を5か国で情報共有してきています。TTCでは、この活動スローガンとして、”SHARE” (Success & Happiness by Activating Regional Economy)を提言し、アジア各国と連携し各国の過疎地域での情報格差解消、いわゆるBSG(Bridging the Standardization Gaps)に向けたICTを利活用したソリューションの普及推進を推進しています。
今回のSHARE会合は、ベトナムの情報通信省とホーチミン市立工科大学の協力により開催されました。日本からは、「SHARE」の提言者であり、現在TTC顧問である井上友二様(トヨタIT開発センタ会長)をはじめ、BSG専門委員会からTTC事務局とBSG専門委員会会員のNEC、NTTの2社と、フィリピン、マレーシア、タイ、ベトナムのアジア4カ国のSHARE会合メンバーが参加しました。
BSG専門委員会のSHARE会合の成果は、アジア太平洋地域の38ヶ国が加盟するAPTの ASTAP (APT Standardization Program Forum) やADF (Asia Pacific Telecommunication and ICT Development Forum) の場を活用して展開を進めており、今回はSHARE会合に引き続き、3月7日から11日まで、タイのパタヤで開催されている第27回ASTAP会合に参加しています。ASTAP会合において、Vehicle Hubs構想の紹介を行うとともに、標準化課題としての検討を推進することが出来ました。
今回のブログで紹介したVehicle HubsとBSG課題にご関心のある方は、TTCのマルチメディア応用委員会のスマートカーSWG及びBSG専門委員会にご参加いただければと思います。加入についてはTTCのホームページをご覧ください。また、Vehicle Hubsについては、2/9のTTCセミナー「つながるクルマの時代における世界の最新動向」でも紹介されていますので是非ご覧ください(講演資料のDLにはTTC会員ログインが必要です。)