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マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

TTCセミナー「光ファイバケーブルとアクセス網の最新標準化動向」開催される

 街角にはLEDのイルミネーションが溢れ、クリスマスソングが流れ、年の瀬を感じる季節となりました。年末で皆様ご多忙な時期ではありますが、TTCでは、12月11日に「光ファイバケーブルとアクセス網の最新標準化動向」に関するTTCセミナーを開催しました。

 このセミナーは、光ファイバ伝送専門委員会アクセス網専門委員会が合同して企画したもので、現在の通信インフラの物理基盤となる光ファイバケーブルと基盤設備、そして高速インターネットサービスを支える光およびメタルアクセスを含むアクセス網システムに関する標準化の歴史と最新動向を概観することを狙いとしています。今回のマエダブログでは、そのセミナーの講演概要を紹介します。

 表1に本セミナーのプログラムを示します。司会進行は、光ファイバ伝送専門委員会 委員長の中島 和秀様(日本電信電話株式会社)とアクセス網専門委員会 委員長の岡崎浩治様 (ソフトバンク株式会社)に共同でお願いしました。

中島 和秀 様
中島 和秀 様
岡崎 浩治 様
岡崎 浩治 様

 講演では、まず、光ファイバケーブルの国際標準化活動への貢献により今年度のTTC表彰における総務大臣表彰を授与された冨田茂様 に、マルチ及びシングルモード光ファイバケーブルを中心とした国際標準化活動における日本の貢献の歴史と冨田様ご本人の経験について解説いただき、日本の貢献の大きさを再認識することが出来ました。その後、関連分野での標準化および研究開発の最前線でご活躍中の方々に登壇いただきました。

冨田 茂 様
冨田 茂 様
荒木 則幸 様
荒木 則幸 様
Frank Effenberger 様
Frank Effenberger 様
滝広 眞利 様
滝広 眞利 様

 ITU-T SG15(光伝送、アクセス、ホームネットワークと設備)の副議長の荒木則幸様には、SG15のWP2が扱う光ファイバ及びFTTH関連設備に関する標準化動向について解説いただき、今後も日本技術の国際標準への反映に向けた貢献への意気込みを述べていただきました。SG15のWP2へのアップストリーム活動については引き続きTTCの光ファイバ伝送専門委員会で行っていく予定です。

 光アクセスシステムの標準化最新動向の講演をいただいたFrank Effenberger氏は、私の20年来の標準化の仲間であり、現在はHuaweiの米国における研究開発を担うFuturewei Technologies社の所属で、光アクセスを扱うITU-T SG15の課題2のラポータです。今回はマレーシアでの標準化会議の機会を利用して、わざわざ来日いただきました。光アクセスの将来課題としては、アクセスの25Gb/sへの更なる超高速化への発展と、適用要求条件の変化により、XG-PON1、TWDM-PON、RoF-PON等のアクセスシステムの多様化が求められていることを示唆いただきました。また、最新課題としては、将来モバイル網(5G、IMT-2020)のMFH (Mobile Front Haulへの光アクセスの適用が大きな課題となることが示されました。

 MFHに関しては、先週までジュネーブで開催されていたSG13会合で、5Gにおける有線系ネットワーク課題を検討するFG-IMT2020の活動を2016年末まで延長することを合意した、という速報が届きました。その中でMFH/MBH (Mobile Front Haul/ Mobile Back Haul)の課題は重要と認識され、小セル化、セルの大容量化、伝送装置の省電力化等の次世代MFH/MBHに適用する光アクセス技術はSG15で推進し、セル種別やトラフィックの多様化に柔軟に対応するためのMFH/MBHのSlicing等の網制御についてはFG-IMT2020でより詳細な検討を行うこととなりました。TTCでは既にこれらの課題に関しての検討を進めており、「将来のモバイルネットワーキングに関する検討会」のホワイトペーパーとして内容を公開しています。TTCでは、これらの課題については引き続き、日本では5GMFのネットワーク委員会と連携しながら、アクセス網専門委員会の次世代光アクセス網サブワーキンググループ(SWG2401)で推進していく予定です。

 最終の技術講演では、滝広眞利様(Huawei Japan)に、最新のメタリックアクセスの標準化動向として、短距離(100~200m)メタル回線で1Gb/s伝送が可能なG.fastの要素技術と海外での導入展開事例を中心に講演いただきました。日本では、FTTHを中心とした導入展開が進んでいますが、現状で約4200万の固定ブロードバンド加入者のうち光アクセスが実現しているのは6割程度であり、新規光ファイバケーブルが敷設困難な場所や既存設備を活用した早期なブロードバンド化のソリューションとして、その技術動向は把握していく必要があるでしょう。この標準化動向についてはアクセス網専門委員会のハイブリッドアクセス網サブワーキンググループ(SWG2402)で検討しています。G.fastに関連した国内の規定としては、TTC標準JJ.100.01メタリック加入者線伝送システムのスペクトル管理標準第4版に基づいたスペクトル適合性確認結果報告書におけるFTTRシステムとして記載されています。

 世界中にFTTxによるブロードバンド市場が広まる過程で、日本の光アクセスのインフラ構築技術がグローバルビジネスで貢献する際の差別化技術になると強く感じました。TTCでは、より多くの皆様にこのような議論にご参加いただき、これからの光インフラの構築に向けた検討を盛り上げていただければと思います。

表1;セミナープログラム

No
時間
タイトル / 講師
15:00 - 15:10
開会挨拶
前田  洋一 (TTC 専務理事)
15:10 - 15:55
光ファイバの国際標準化活動 (日本の貢献)
冨田 茂 氏 (NTTアドバンステクノロジ株式会社)
 (元ITU-T SG6 WP1議長)
3
15:55 - 16:25
ITU-Tにおける光ファイバ・ケーブル標準化の最新動向
荒木 則幸 氏 (日本電信電話株式会社)
(現ITU-T SG15副議長)
4
16:25 - 16:55
Optical Access Network Industry Standards
Frank Effenberger氏 (Futurewei Technologies)
(現ITU-T SG15 Q2ラポータ)
5
16:55 - 17:25
メタリックアクセスシステムの標準化とサービス展開の最新動向
滝広 眞利 氏 (華為技術日本株式会社)
6
17:25 - 17:30
閉会挨拶
岡崎  浩治 (ソフトバンク株式会社)
 (アクセス網専門委員会 委員長)
7
17:30~
意見交換・懇親会