5Gネットワーキングに関する第2回FG-IMT2020会合に参加して
ITU-TのSG13では、SDN(Software Defined Networking)やCCN(Content Centric Networking)等のネットワーク技術の将来モバイル網(いわゆる5G)への適用と、モバイル網における有線と無線の連携技術についての検討を加速するために、IMT2020に関する FG(Focus Group)を本年5月に設立しました。その第2回FG-IMT2020会合が7月14日-15日にジュネーブで開催されましたので、会合概要を速報します。写真はFGオープニングでのFG議長(Peter Ashwood-Smith氏(Huaweiカナダ):写真右端)と来賓のITU-T局長(Chaesub Lee氏:写真中央)とITU-RのSG部門長(Colin Langtry氏)です。FGの設立背景については、マエダブログ2015年5月7日号を参考にしてください。
我が国において、5Gは将来の重要な情報通信システムになると考えられており、産学官連携で研究開発、標準化、アプリケーションの検討や方向付けを推進する場として、2014年9月に「第5世代モバイル推進フォーラム」(The Fifth Generation Mobile Communications Promotion Forum(5GMF))が発足し、オールジャパンでの検討体制が確立しました。ARIBとTTCが5GMFの事務局として支援させていただいておりますが、5Gは、無線技術だけでなく、IoT(Internet of Things)関連技術や、5Gネットワークを支えるモバイルフロントホールやコアバックボーンのネットワーク課題も含め、無線と有線技術が連携したトータルな通信ネットワーク技術に関する検討が必要であり、TTCとしては最新の標準化重点課題として検討を推進しています。
第2回FG-IMT2020会合の参加者は、遠隔での参加者を含め75名と第1回会合よりも増加しました。今会合では、第1回会合での合意を基に、表1のように、FG成果文書にまとめる主要検討課題毎に文書草案編集責任者(このFGではチャンピオンと呼ぶ)を中心に文書作成を開始し、各課題毎の目次構成の詳細化を図りました。9月の第3回会合までに、検討課題毎に電話会議を開催し、文書草案の作成を進展させる予定です。
今後のFG会合に向け、日本としては、5GMFやTTCの将来モバイルNW検討会アドホックでの検討成果を効率的にFG成果文書に反映できるよう、次回会合までに開催される電話会議で具体的な成果文書への記載内容に関する寄書提出と議論参加が必要となります。特に、5GMFとTTCがリードするユースケースや要求条件、NWソフトウェアライゼーション(※)とモバイルフロントホール・バックホールの検討課題では、具体的な文書提案が必要と考えています。
TTCでは、FG会合での情報を共有すると共に、TTC 白書や5GMFのネットワーク委員会(委員長:中尾彰宏教授(東京大学))での検討成果をFG成果物への反映を図るために、「FG IMT-2020対応」アドホック(IMT2020-AH)を立ち上げました。FG会合の詳細に関心のある方は「FG IMT-2020対応」アドホックへの参加をお待ちしております。
次回会合は、日本ではシルバーウィークと言われる連休期間となる9月21日(月)から24日(木)までの4日間、テレコムイタリアのホストで、イタリアのトリノでの開催を予定しています。9月21日には、主要課題の深堀を図るために、専門家を招待してのワークショップの開催も予定されており、日本からの貢献が期待されます。
TTCでは、より多くの皆様に議論にご参加いただき、これからの5Gネットワーキングの検討を盛り上げていただければと思います。TTCへの入会に関心のある方は入会案内をご覧ください。
表1.FG成果物の主要トピックと編集分担
検討項目
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主管
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会合状況
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Overview of use cases
ユースケース
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日本
(NEC)
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NECが積極的に草案提案
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High level architecture
ハイレベルアーキテクチャ
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韓国
(ETRI)
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ETRI、チャイナモバイルが積極的に草案提案
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Emerging networking tech. (CCN etc.)
新NW技術(コンテンツ指向型NW等)
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米国
(CISCO)
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CCNベースのコンテンツ配信機能に関心
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End-to-end QoS
エンドツーエンドQoS
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韓国
(KT)
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韓国KTが検討に熱心
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Network Softwarization
ネットワーク・ソフトウェアライゼーション
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日本
(5GMF)
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5GMF・TTC白書の成果を反映
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Fronthaul/Backhaul
モバイルフロントホール・バックホール
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中国(Huawei)
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5GMF・TTC白書の成果を反映。SG15との連携あり
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最後に、間もなく大暑(たいしょ)で、暑さが日に日に厳しくなってきますが、少しでも涼しさを感じられるよう、ジュネーブから帰国した週末に訪れた川崎大師の風鈴市(7月17日-21日開催)の風景をお届けします。
※ネットワーク・ソフトウェアライゼーション(NetSoft)
IEEE学会の中で使われ始めた用語(http://sites.ieee.org/netsoft/)で、SDNやNFV(網機能仮想化)、ソフトウェアベースクラウドコンピューティングなどを含めたネットワークのソフトウェア化の広い概念。