マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

モバイルデジタルマネーサービスを考える

 冬の気配が感じられる「立冬」の季節となりました。暦的には「立冬」の始まりから「立春」の前までが冬となります。ただ、まだまだ秋の景色が楽しめ、紅葉の他、菊まつりも各地で開催されています。写真は菊まつり展示会からのショットです。

 TTCでは、平成26年11月25日(火)13:00-15:30に、NICTとTTCの共催で、「ITU-T FG-DFS (Digital Financial Services)の概説と業界動向」と題してセミナーを開催します。

 このセミナーの背景となるFG-DFSの設置については、昨年の6月23日号のマエダブログにおけるTSAG会合結果の中で報告しました。このFG設置は、マイクロソフト創設者のビル・ゲイツで有名なBill and Melinda Gates財団からの提案を合意したものです。提案は、主に開発途上国を対象に銀行口座を持てない人にも電子的手段(モバイルを含む)でマネーを安全に送受できるサービスの枠組検討をITU-Tで開始するというものです。このFGでの検討のための資金はゲーツ財団が寄付し、また、このFG議長は財団のSacha Polverini氏が担当します。このFG検討に関してはITU-TではSG2、SG3、SG13、SG16、SG17が関心を示し、他の関連する標準化機関としては、ISO TC 68、ISO/IEC JTC 1、GSMA(GSM Association)、SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)との連携の必要性が認識されています。

 このFGの第一回会合が12月5日に、また関連のワークショップ「Workshop on Digital Financial Services and Financial Inclusion」が前日の12月4日にジュネーブで開催されることになりました。

 今回のセミナーでは、FG-DFSの第一回会合の開催前に、FG設立背景を学ぶとともに、デジタルマネーに関する各分野を代表する三名の講師の方々にICカード業界の取り組み、NFC技術との関係、関連新技術(Bitcoin)の影響についてご講演をいただきます。また、その後、講師の方を中心に今後の日本としての対応についてのパネル討論を予定しています。

 セミナーで紹介されるITU-T Technology Watchレポート「モバイルマネー革命」については、千田昇一氏  (独立行政法人情報通信研究機構(NICT) 標準化推進室)に和訳を用意していただきましたので、以下からダウンロードしていただければと思います。

ITU-T Technology Watch モバイルマネー革命(和訳)

 Part 1:「近距離無線通信モバイル支払」

 Part 2:「金融サービス普及の具現者」 

 国内では「○○○×ICT」をキャッチフレーズにICTによる業界のイノベーションやICTの新たな役割への期待が高まっていますが、このようなグローバルレベルの展開を睨んで発信される業際テーマの動向にも注視していく必要があると考えています。この新しい動きに対して、日本企業はどのように対処するのか、今後の課題ではありますが、TTCでは関連情報を収集し、TTCでの今後の検討体制を議論していくつもりです。

 表1:NICT/TTC共催セミナープログラム
「ITU-T FG-DFS (Digital Financial Services)の概説と業界動向」
プログラム(内容を変更する場合があります。)
1
13:00-13:10
開会挨拶
2
13:10-13:35
ITU-T FG-DFS検討の背景 (仮題)
千田 昇一氏 
(独立行政法人情報通信研究機構(NICT) 標準化推進室)
参考資料
ITU-T Technology Watch モバイルマネー革命(和訳)
3
13:35-14:00
GlobalPlatformのモバイルマネー(ウォレット)等に関する取り組み
庭野 栄一氏 (GlobalPlatform 理事)
4
14:00-14:25
モバイルマネーとNFC (仮題)
木下 直樹氏 (モバイルNFC協議会 事務局長)
5
14:25-14:50
関連新技術(Bitcoin)の影響 (仮題)
岡田 仁志氏 (国立情報学研究所 准教授)
6
15:00-15:25
パネル討論
7
15:25-15:30
閉会挨拶