CEATEC JAPAN 2014を終えて
2週連続の台風の襲来がありましたが、皆様のご無事を祈っております。10 月7日(火)から10 月11 日(土)まで、幕張メッセにおいて開催された『CEATEC JAPAN 2014』(シーテックジャパン2014)も初日の準備には台風の影響がありましたが、5日間の開催を無事終えることが出来ました。CEATECは、最先端IT・エレクトロニクスの総合展示会で、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)および社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の3団体の主催により開催されました。TTCは協賛団体の一社として参加するとともに、HATS PLAZA内にTTC展示ブースを設置し、TTCの標準化活動の紹介を行いました(写真1)。
本ブログでは、TTC展示ブースを代表の方が訪問いただいたG3-PLCアライアンスの関係と、国際会議場で開催されたスペシャルセッション「第5世代移動通信システム国際ワークショップ」について解説します。
今年のCEATECは、『NEXT -夢を生みだし、未来を描け』をテーマに、IT・エレクトロニクス産業の幅広い分野における最先端技術の展示が行われました。CEATECは大きな展示ステージとコンファレンスで構成され、また、今年は新たにベンチャーエリアと技術者交流イベントの新しいコーナーが用意されました。CEATEC事務局の発表によると、開催5日間の登録来場者数(リピータを除く)は150,912人(2013年:141,348名、昨年比6.8%増)でした。近年、来場者の減少が続いていましたが(2012年:162,219名、2011年:172,137名、2010年:181,417名)今年は盛り返したようです。
1)G3-PLCアライアンス
G3-PLCアライアンスは、狭帯域電力線通信向けの通信規格の仕様検討と認証を推進する団体で、TTCとは次世代ホームネットワークシステム専門委員会(WG3600)を通じて連携関係にあります。TTC標準JJ-300.11「ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース(ITU-T G.9903 狭帯域OFDM PLC)」は、スマートグリッド応用におけるHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)とスマートメーター間(Bルート)の通信に用いられる電力線通信の国際規格で、物理/データリンク層としてITU-T標準 G.9903(G3-PLC)を採用し、WG3600が策定した通信規格です。日本では、東京電力管内のスマートメーターと宅内のHEMS間の通信ルート(Bルート)に採用され、TTC標準JJ-300.10「ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース (IEEE802.15.4/4e/4g 920MHz帯無線)」の中で規定した920MHz帯特定小電力無線向けWi-SUN規格を合わせて、有線・無線に関わらず全てのHEMS関連機器間との通信が可能となります。
今回、G3-PLCアライアンスは、JJ-300.11のL1~L4仕様の認証を開始したことをCEATECでのカンファレンスで紹介するために来日し、その機会にアライアンスの代表者がTTC展示ブースを訪問されました。写真はG3-PLCアライアンスの戦略運営委員会のLonneke Driessen-Mutters委員がTTC展示ブースを訪問された際の記念写真です。
TTCでは、スマートコミュニケーション社会の実現に寄与する標準化活動を推進しており、スマートグリッド関連だけではなく、スマートカーと災害救援、e-Healthなどのアプリケーションやこれら様々なサービスのプラットフォームを提供するM2Mの課題をホットトピックとして幅広く参加者を募って検討しております。また、e-Health、ITS、アクセシビリティなど各業界のイノベーションを支援するため、マルチメディア関連課題が増加する中、これまでスマートコミュニケーションAGで対応してきた課題が標準化作業に着手しつつある検討の節目でもあることから、これらアプリケーション課題を一元的に扱う体制とし、ITU-T SG16はじめ関係機関、団体との連携を含め標準化活動を効率よく対応することを目的に、新たにマルチメディア応用専門委員会を開設することとしました。
2)「第5世代移動通信システム国際ワークショップ」
近年の移動通信サービスの発展・普及には目覚ましいものがあり、第3.9世代移動通信サービスは、既に携帯電話加入者の約3分の1が利用しており、第4世代のIMT-Advancedについてもサービス開始に向けた準備が着々と進められています。さらに、ITU-R、3GPP等の標準化機関において、2020年頃の導入に向け、次の世代の移動通信サービスの検討が開始されており、また、欧州、韓国、中国など諸外国においても種々の団体が設立され検討が行われています。
この度、総務省主催の電波政策ビジョン懇談会において、2020年以降の第5世代移動通信システムの導入に向けたロードマップが示され、平成26年中に推進協議会を立ち上げ、産学官が連携して取り組みを推進することが、同懇談会の中間とりまとめ(平成26年7月14日)に盛り込まれました。これを受け、(一社)電波産業会(ARIB)の2020 and Beyond AdHocの活動成果をベースとして、さらに、有線系・固定系ネットワーク分野において私どものTTCとも連携し、また移動通信サービス利用のアプリケーションについても検討範囲を拡大するため、9月30日に「第5世代モバイル推進フォーラム」を設立し、日本における第5世代移動通信システムの研究開発・標準化推進への寄与を図ることとなりました。
10月8日の午後に、CEATECでの国際会議場で開催されたスペシャルセッション「第5世代移動通信システム国際ワークショップ」は、9月30日に設立された「第5世代モバイル通信推進フォーラム」が初めて企画するイベントとなりました。500名を収容できる会議場は満席で、大変に盛況なワークショップとなりました。
ワークショップは、総務省総務大臣政務官の長谷川岳氏と国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)研究委員会担当部長のコリン ラングリー氏のご挨拶で始まり、講演では、第5世代モバイル推進フォーラム会長の吉田進氏(京都大学特任教授・名誉教授)のキーノートスピーカーで始まりました。また、5Gに関する検討の世界の最新動向を共有するために、5名のスピーカーによる講演が行われました。講演者は、ITU-R第5研究委員会作業部会D(WP5D)副議長のハカン オルセン氏(エリクソン)、5GPPP(5G Public-Private Partnership)議長ヴェルナー ムーア氏 (ノキア)、中国IMT-2020プロモーション協会副議長
ワン ヅチン氏 (中国情報産業部電信研究院)、韓国第5世代フォーラム運営委員会議長ハン ヨンナン教授(韓国科学技術院)、ARIB 2020 and Beyond Ad Hoc リーダの中村武宏氏(NTTドコモ)でした。ワークショップは5名の講演者と関口和一氏(日本経済新聞社論説委員編集委員)をモデレータとしてのパネルディスカッションで終了しました。
TTCでは、上記の「第5世代モバイル通信推進フォーラム」の検討に貢献するとともに、国内外で検討・研究が進められている次世代モバイルサービスに関して、関連する専門委員会が集まり、将来のモバイルサービスの検討動向調査やそれを支える通信インフラ基盤を検討するために、「将来のモバイルネットワーキングに関する検討会」アドホックを設置し、参加頂ける委員を募集しています。
CEATECでのTTC展示コーナーに来場された方もこれらのスマートコミュニケーションや将来のモバイルネットワーキングに関する活動に高い関心を示されました。様々な業種の方々にTTCの活動に参加頂き、さらには新たな会員加入につなげるべく営業活動を継続したいと思っています。