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マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

TTCセミナー「M2Mとホームネットワークの最新標準化動向」 開催される

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 暦での「立春」(「春の気立つを以って也」との意味を持ち、今年は2月4日)を過ぎ、この日から立夏の前日までが春ということで、先週末、熱海梅園に三分咲の梅を観に散策に出かけました。何枚かの梅の写真をお届けし、一足早い春をお届けします。

 さて、今回のブログは、2月5日に開催されたTTCセミナー「M2Mとホームネットワークの最新標準化動向」の内容を紹介します。テーマが最近の標準化における重要課題であるモノのインターネットと呼ばれる「M2M(Machine to Machine)」とスマートグリッドでの応用が期待されている「ホームネットワーク」に関するものであることから、関心も高く、事前登録を期限前に締め切らせていただき、参加者は100名を超える大変盛況なセミナー開催となりました。本セミナーは、TTCのoneM2M専門委員会次世代ホームネットワークシステム専門委員会の合同企画により実現しました。セミナーのプログラム構成を表1に示します。

 TTCではoneM2M専門委員会では、M2M通信のサービスレイヤについて、TTCを含む世界の主要な7つの標準化団体が「oneM2M」という共同プロジェクトを立ち上げて標準化検討を行っております(2012年7月25日ブログで紹介)。

 また、次世代ホームネットワークシステム専門委員会では、ホームネットワークを活用したサービスを提供するためのプラットフォームの検討や、スマートグリッドやスマートハウスを実現するために使用されるHEMS(Home Energy Management System)とM2Mデバイスである住宅内機器を接続する標準インタフェースであるECHONET Lite規格の下位層通信インタフェースの標準化を進めています(2013年3月4日ブログ4月9日ブログ12月6日ブログで紹介)。今回のTTCセミナーでは、M2Mとホームネットワークに関する最新の標準化動向につき、それぞれの委員会から最先端で標準化活動を推進されている専門家の方々に、現在取り組んでいる分野を中心に、幅広く紹介していただきました。

 oneM2M専門委員会 副委員長 筒井 章博 氏
oneM2M専門委員会 副委員長 筒井 章博 氏
次世代HN専門委員会 委員長 山崎 毅文 氏
次世代HN専門委員会 委員長 山崎 毅文 氏

 今回のTTCセミナーは二部構成で、前半はoneM2Mの標準化動向に関してoneM2M専門委員会副委員長の筒井章博様(NTT)の司会により、後半はホームネットワークに関する標準化動向に関して次世代ホームネットワークシステム専門委員会委員長の山崎毅文様(NTT)の司会により進行され、まず、TTCの業際イノベーション本部長である山中幸雄氏(TTC)の開会挨拶で始まり、続いて、総務省から河野隆宏様(通信規格課)には、日本における情報通信分野における標準化政策の在り方と今回のテーマであるモノのインターネット(M2M)、センサーなどのモニタリング技術を活用した社会インフラの維持管理、スマートグリッドを中心としたホームネットワークなどのICT課題に関連した研究開発課題や実証実験の推進状況についてご紹介いただきました。また、今年度からの新しい試みとして、戦略的イノベーション創造プログラム、また昨年に引き続き開催されるICTスマートグリッドシンポジウム2014(3月20日開催予定)の紹介がありました。

TTC 業際イノベーション本部長 山中幸雄 氏
TTC 業際イノベーション本部長 山中幸雄 氏
総務省 通信規格課 河野 隆宏 氏
総務省 通信規格課 河野 隆宏 氏

 次に、oneM2Mの標準化動向として、山崎徳和様(KDDI)には、TTCのoneM2M 専門委員会の概要とoneM2Mプロジェクトの活動目的、スコープ、組織(体制やメンバー構成等)、これまでの成果物について概説いただき、藤本真吾様(富士通)にはoneM2Mのアーキテクチャ、プロトコル等の最新検討状況について紹介いただきました。その中で、山崎様からは、oneM2Mの狙いとして、従来垂直統合型で提供しているM2Mサービスに対して共通プラットフォームとなる水平統合型の標準を目指すことにより様々なM2Mサービスの容易かつ経済的な実現を可能とすることと、グローバルなインターオペラビリティを実現する仕様の標準化を目指す点が補強されました。

oneM2M専門委員会 委員長 山崎 徳和 氏
oneM2M専門委員会 委員長 山崎 徳和 氏
富士通  藤本 真吾 氏
富士通 藤本 真吾 氏

 セミナーの後半では、ホームネットワークの関連課題を扱い、TTCの次世代ホームネットワークシステム専門委員会の委員長である山崎毅文様(NTT)には専門委員会の活動概要ご紹介を頂き、松倉隆一様(富士通)には、ホームネットワーク活用サービス向けプラットフォームについて、高呂賢治様(沖電気)と鹿田實様(日本電気)にはECHONET Lite 下位層通信規定とセキュリティ規定への取り組みについて、丹康雄様(北陸先端大)には、ホームネットワークモデル規定に関する標準化状況と最新動向についてご講演をいただきました。

富士通 松倉 隆一 氏
富士通 松倉 隆一 氏
次世代HN専門委員会 副委員長 高呂 賢治 氏
次世代HN専門委員会 副委員長 高呂 賢治 氏
日本電気 鹿田 實 氏
日本電気 鹿田 實 氏
北陸先端大学  丹 康雄 氏
北陸先端大学 丹 康雄 氏

 松倉様がご紹介のサービスプラットフォームの検討においては、M2MサービスアーキテクチャやM2Mサービスプラットフォームとの共通性の必要が認識され、今後、TTC内でそれぞれの専門委員会の専門家相互での検討が行われることが期待されます。

 また、丹先生からは、今後の課題として、ホームネットワークにおけるセキュリティ、プライバシ課題の取り組みの重要性の指摘と高度なサービスを安全に提供可能とするためのサービスプラットフォームのしくみなどについて、取り組み状況を共有できる適切な場が必要であるとの提言があり、TTCとしての取り組みに反映していきたいと考えています。

 今回のTTCセミナーでは、総務省をはじめ、TTCのoneM2M専門委員会と次世代ホームネットワークシステム専門委員会の専門家の皆様にご協力いただき、M2M標準化の全体とM2Mデバイスをつなげるホームネットワークとの関係が理解できるようにプログラムを企画していただきました。関係者の皆様の講演に向けてのご支援と会場での活発な意見交換にご参加いただきありがとうございました。

 セミナーを通じて、M2Mに関する標準化は緒に就いたところであり、今後、サービスアプリケーションとビジネスを想定したユースケースの議論を深め、日本がICT技術を活用して国際競争力を強化するために、どのような標準化が必要かの議論を深めていかなければいけない現状と、TTCの専門委員会を中心とした国内議論の場の提供が必要であるとの再認識をしました。TTCでは、より多くの皆様にこのような議論にご参加いただき、これからのスマートライフの構築に向けた検討を盛り上げていただければと思います。

表1:セミナープログラム
 
時間
タイトル
1
13:30-13:35
開会挨拶 
山中 幸雄 氏(TTC 業際イノベーション本部 本部長)
2
13:35-14:00
「M2Mとホームネットワークに関連する総務省の動き」
河野 隆宏 氏 (総務省 通信規格課)
3
14:00-14:40
「oneM2M専門委員会の動向とoneM2M標準化動向-その1(活動の目的、スコープ、組織、これまでに発行された文書等)」
山崎 徳和 氏
(KDDI株式会社、oneM2M専門委員会 委員長)
4
14:40-15:20
「oneM2M標準化動向-その2(アーキテクチャ、プロトコル等の検討状況について)」
藤本 真吾 氏
(株式会社富士通研究所、oneM2M専門委員会 委員)
5
15:20-15:35
休憩
6
15:35-15:40
「次世代ホームネットワークシステム専門委員会の動向」   
山崎 毅文 氏(日本電信電話株式会社、次世代ホームネットワークシステム専門委員会 委員長)
7
15:40-16:10
「ホームネットワーク活用サービス向けプラットフォーム」
松倉 隆一 氏(富士通株式会社、サービスプラットフォームSWGリーダ)
8
16:10-16:40
「ECHONET Lite 下位層通信規定とセキュリティ規定への取り組み」
高呂 賢治 氏(沖電気工業株式会社、インタオペラビリティSWGリーダ)
鹿田 實 氏
(日本電気株式会社、物理・リンク層SWGリーダ)
9
16:40-17:10
「ホームネットワークモデル規定に関する標準化状況と最新動向」
丹 康雄 氏(北陸先端科学技術大学院大学、次世代ホームネットワークシステム専門委員会 特別委員)
10
17:10-17:15
閉会の挨拶
前田 洋一 氏(TTC 専務理事)
11
 17:15
意見交換会