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マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

インドの新標準化機関TSDSIの発足記念式典に参加して

写真1ーTSDSI発足イベント会場
写真1ーTSDSI発足イベント会場

 11月8日、インドのニューデリーにあるC-DOT(Centre for Development of Telematics:インド情報通信省傘下の研究機関)で開催されたインドの新しい通信系標準化機関TSDSI(Telecom Standards Development Society, India)の発足式「Launch Event of TSDSI-India’s TSDO」への招待を受け、標準化連携のための基本合意書(Letter of Intent to Cooperate)の調印式に参加してきました。本ブログでは、インドのTSDSI発足の背景を報告します。写真1は式典会場の概観、写真2はメインパネルの案内です。

写真2ーメインパネル案内
写真2ーメインパネル案内

 インドは1947年にイギリスの植民地から独立し、世界第2位の人口を持つ大国です。2012年の世界人口白書推計で12億5840万人を数え、近年の経済発展は著しく、今後の日本のグローバルビジネスにとって重要な国となることは間違いないでしょう。日本とインドには「日印戦略的グローバル・パートナーシップ」の関係がありますし、また総務省では、2013年10月、日本とインドの情報通信分野における協力関係を強化することを目的とした、継続的かつ包括的な戦略的な対話の枠組みである「日印ICT官民戦略対話」を創設すること等で合意するなどの進展もあり、先進国としての日本の貢献にも期待が高まっています。

 TTCとしては、標準化活動を通じて、将来のインド市場における日本企業のビジネスチャンスにつながることを期待し、ICT分野での国際連携活動として、インドの通信関係の標準化機関との連携を推進しており、2011年8月には、GISFI(The Global ICT Standardization Forum for India)との協力のための基本合意書を締結し、合同ワークショップなどを開催してきました。

 最近の活動については2013年9月27日発行のブログで報告しましたが、インド国内には、まだ政府の通信IT省電気通信総局(Department of Telecommunications (DOT), Ministry of Communications & IT (MCIT), Government of India)が認めた正式な国内の標準化機関(SDO:Standard Development Organization)はありませんでしたが、この度GISFIとは別に、TSDSIが設立され、インドを代表する政府承認の国内標準化機関として立ち上がることになりました。9月末に、MCITを訪問した時に、本年中にインド政府の正式認定した標準化機関ができる見込みであると聞いていましたが、その際の計画通りの進展のようです。

写真3ーTSDSI発足記念式典模様
写真3ーTSDSI発足記念式典模様

 TSDSI発足イベント(写真3)では、DOTの電気通信委員会委員長のM.F. Farooqui氏(写真4)の主賓挨拶の他、TSDSI会長となるKumar Sivarajan氏(写真5)やDOT幹部の挨拶で構成されましたが、この式典には、標準化機関からITU、ETSI、ARIB、TTCが、また企業からはNSNとEricssonの代表が招待されていました。

写真4ーFarooqui電気通信委員会委員長
写真4ーFarooqui電気通信委員会委員長
写真5ーSivarajan TSDSI会長
写真5ーSivarajan TSDSI会長

 TSDSIの発足記念式典では、TSDSIは海外の標準化機関とのグローバル連携を推進し、その連携関係をアピールするために、招待標準化機関の代表者による講演も行われました。ITUからはITU-R標準化部門長のColin Langtry氏、ETSI事務局長のLuis Jorge Romero氏、ARIB常務の佐藤孝平氏、とTTCは私が祝辞と組織紹介の講演を行いました。また、TSDSIとETSI、ARIB、TTCとの標準化連携における協力推進のための基本合意書への調印式が行われました。この基本合意書には、ETSI、ARIB、TTCに加え、郵送での調印参加で、中国CCSAと韓国TTAも基本合意書に名を連ねていました。写真6は講演者への記念品です。

写真6ー来賓記念品
写真6ー来賓記念品

 TSDSI発足イベントを記念し、式典の後半は、「Path to 5G:次世代移動通信(5G)への道」と題するワークショップが行われました。講演を通じて、ベンダでは、Ericsson、NSN、Tejas Networks、Qualcom、Samsung、オペレータでは、Tata Teleservices、Bharti Airtel、Vodafoneの存在感が有りました。また、EUのインド代表の参加もあり、ETSIを含め、欧州がインド市場に強い関心を持ち、強力な支援体制を整えようとしているという印象を強く持ちました。さらに、大学や研究機関などのアカデミアのTSDSIへの参加を重視しているようで、標準化を通じて、最新技術と若者活力を取り入れたインド産業力の向上を目指す姿勢が強く感じられました。

 インドはアジア地域標準化機構のAPT(アジア太平洋電気通信共同体)のメンバーであり、ASTAPやCJK(日中韓)の枠組みでの協力を含め、良好な関係を構築していくことが重要と思います。

 今回のTSDSIの正式発足を受け、今後インドでは、12月までに会員募集を行い、2014年3月までには具体的な標準化活動を開始する予定とのことです。巨大なインド市場にビジネス展開する上で、政府承認の国内標準化機関が設立されたことは大きな意味があり、日本企業がどのような関心を示すか、気になるところですが、TTCでは引き続き情報を収集するとともに、今後のインド動向に注目していきたいと思います。

◆11月13日追加情報

TSDSI事務局から式典での写真情報が届きました。本記事に追加します。

SDO代表招待講演セッション
SDO代表招待講演セッション
TTC招待講演
TTC招待講演
記念品の贈呈式
記念品の贈呈式