マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

ITS (Intelligent Transport System)世界会議 東京2013に参加して

 台風26号が通り過ぎた10月17日、東京ビッグサイトで開催された第20回ITS世界大会に参加してきました。台風により伊豆大島を中心に甚大な被害がもたらされてしまいましたが、災害により亡くなられた方々に、謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された地域の皆さま、その家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。

 第20回ITS世界大会 東京2013は、10月14日に東京国際フォーラムで開会式典が行われ、15日から18日までは東京ビックサイトで展示会と講演会が行われました。主催者の発表では、60か国以上の自動車および部品メーカ、情報関連企業が出展し、参加者は一般来場も含め1万6900人と当初目標の1万人を大きく上回ったとのことです。今回は台風の影響で、16日午前のプログラムが中止になるなど、会議運営の皆様も大変に苦労されたことと思います。

 今回のITS世界会議には、TTCとして初めて会議セッションプログラムに参加しました。ITSは、TTCの業際イノベーション本部(Inter-Industry Innovation Center;I3C)の目指す「ICTを活用する業界間の協業や分野横断的な活動を中心にした業際イノベーション戦略の検討」における重点課題の一つであり、スマートカーWPで検討を行っています。

blog-20131022_02.jpg

 TTCはITS世界会議の約200ある企画セッションの一つ、SIS42:Harmonization for Open ITS Communication Standardsという特別セッションを企画担当しました。TTCのスマートカーWPリーダの千村保文様(OKI)と私がセッションオーガナイザとなり、ITU-TのSG16議長の内藤悠史様(三菱電機)にセッションモデレータをお願いしました。セッションの企画案検討と事前運営では太刀川喜久男様(OKI)に大変にお世話になりました。講演者には、以下の4名の方をお招きしました。なお、Pennock氏は来日できなかったことから共著者の内藤様に講演いただきました。

1) T.Russel Shield様(Ygomi社):ITSに関するITU標準化の最新動向

2) 井上友二様(トヨタIT開発センター):新たな社会インフラとしての自動車通信の提案

3) Paul Spaanderman様(PaulConsultancy):ITSに関する欧州標準化の最新動向

4) Scott Pennock様(QNX Software systems):ITU-TにおけるITS関連標準化の最新動向

blog-20131022_03-06.jpg

 SIS42セッションは10月17日の11:00-12:30で開催され、展示会と併催のプログラムでしたが、40名近い参加者があり、無事セッションが実現でき安心しました。セッション会議では、ITSにおける情報通信技術(ICT)に関わる標準化課題を議論し、最新の標準化動向を概観するとともに、標準化協調連携の必要性を共有できたと思います。

 展示会場では、国内の自動車メーカや電機メーカがそろって、「自動運転」や「交通安全・渋滞解消」、「次世代モビリティとエネルギマネジメント」、「スマートフォンやタブレット端末を用いた新サービス」などのキーワードを柱に、数多くの次世代技術を披露していましたが、ICTの活用の視点からは、車が収集するプローブデータ、道路管制データや地図データなどを使ったビッグデータが今後の特に重要な課題と感じました。車・車間通信や路・車間通信などの通信の標準化の必要性はますます高まってきます。社会インフラとしての共通プラットフォームにデータを流通させるために、オープンなインタフェースを標準化することは必須の課題であり、TTCが取り組むべき課題であると再認識しました。

 TTCでは、ICT技術と自動車ホーム、エネルギーヘルスケアなどとの産業の融合が今後の市場の動向であり、この中で、国際市場を強く意識し、グローバル標準を生かした活動を推進して行きたいと考えています。