マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

中国・洛陽にて第12回CJK標準化会合開かれる

 第12回CJK標準化会合(CJK IT Standards Meeting、以下CJK会合)が4月9日から11日に中国の洛陽で開催され、私はTTC代表(HoD:Head of Delegation)として参加しました。

  CJK会合は中国、日本、韓国の3カ国の情報通信産業の成長と発展のための情報交換に関するMoU(Memorandum of Understanding:覚書)に基づく、情報通信の標準化分野における協調会合で、中国、日本、韓国の標準化機関 (SDOs : Standards Development Organizations) が各国の窓口となり(中国はCCSA、日本はARIBとTTC、韓国はTTA)、2002年からおおよそ年一回のペースで、3カ国で 順番にホストを持ち回りで開催しています。なお、CJK会合の歴史については、2012年3月21日のマエダブログで紹介していますので参考にしていただければ幸いです。

写真1 洛陽市内の「牡丹花会」関連の案内看板
写真1 洛陽市内の「牡丹花会」関連の案内看板
写真2 洛陽市内のタクシーの屋根につけられた「牡丹花会」の看板
写真2 洛陽市内のタクシーの屋根につけられた「牡丹花会」の看板

 今回のCJK会合が開催された洛陽(らくよう)は、中国の河南省地域の中核となる都市で、しばしば中国王朝の首都となったことと、インドから仏教が最初に中国に伝えられた都市として有名です。また、花の牡丹(peony)が有名で、丁度「牡丹花会」(4月15日から4月25日まで開催)の準備の時期で、市内の至るところにお祭りの案内(写真1と写真2)が出ていて、明るい雰囲気を作り出していました。郊外には、2000年にユネスコ世界遺産に登録された龍門石窟という石窟寺院があり、およそ3万体の仏像が石窟の中に作られています(写真3)。人口は約650万人ということですが、市内に数多くの高層住宅と工業地域が建設中(写真4)であり、今後の発展が予感され、数年後にもう一度訪れてみたい都市という印象を持ちました。

写真3 ユネスコ世界遺産に登録された龍門石窟
写真3 ユネスコ世界遺産に登録された龍門石窟
写真4 洛陽市内は高層住宅の建設ラッシュ
写真4 洛陽市内は高層住宅の建設ラッシュ

 今回のCJK会合の参加者は、中国はCCSAから70名、韓国はTTAから27名、日本はARIBの9名とTTCの8名で、その他に、ゲストとして、CJKとMoUを締結したITU-TからTSB事務局次長のRheihard Scholl氏が参加しました(写真5と写真6)。プレナリー会合の総合議長はCCSA次長のDuo Liu女史で、CCSA事務局長のZemin Yang氏の開会の挨拶で始まりました。また、オープニングでの来賓挨拶の中で、Scholl氏からは、ITUの標準化活動の中でCJKの寄与が、役職者数、寄書数、会合参加者数の点で最も大きく、ITUにとって最も重要な連合であり、今後のCJKの影響力の拡大と標準化活動における重複回避など円滑な標準化運営のために、一層の相互連携の強化が重要であるという認識が表明されました。

写真5 CJK-12会合のプレナリー会場
写真5 CJK-12会合のプレナリー会場
写真6 左から総合議長のLiu氏、ホストCCSAの Yang局長、TSB Rheihard次長
写真6 左から総合議長のLiu氏、ホストCCSAの Yang局長、TSB Rheihard次長

 今回の主要な会合結果としては、会合初日前夜に開催されたHoD会合において、各HoDに主要担当者を加えた「HoDアドホック会議」を新設することを合意したことです。10年に及ぶCJK会合は主に情報交換の場として活用されてきましたが、今後はこの連携関係をより強化することを目指し、例えば、日中韓で共通の標準を制定する取り組み、3GPPやoneM2Mなどの主要課題、CJKとITUとの間で連携した戦略的な標準化課題などについて、一年間で集中的に議論していく予定です。

  また、個別の技術課題については、各々作業部会(WG:Working Group)で議論されましたが、以下が主な結果です。

(1)Wireless Power Transmission(無線電力伝送) WGの設置:日本ではARIB の担当課題ですがIMT WG(International Mobile Telecommunication WG)配下のWPT タスクフォースで1年間検討を進めてきた成果であるTechnical Reportが報告され、標準化課題が明確になったことから、新たにWPT WGを設置し、標準化に向けた取り組みを活発化させていく方針が合意されました。

(2)SDN(Software Defined Networking)分野でのSG11とSG13間の連携強化:WTSA-12でSDNの信号要求条件の新課題がSG11に設けられたことを受け、アーキテクチャを扱うSG13との連携のあり方について議論され、6月のSG11とSG13会合時にCJKメンバーだけで集まり、検討を加速することを合意しました。TTCではNGN&FN信号制御専門委員会を中心に対応していく予定です。

(3)MPLS関係の連携体制を維持:昨年11月のWTSA-12においてMPLS-TPのOAM関連の標準化をCJKの連携により一段落することが出来ましたが、引き続きSG15会合に向けて検討が必要な課題であるMPLS-TP linear protection、MPLS-TP ring protection、Multi-layer converged network等について、CJK会合のadhocとして連携検討体制を維持することを確認しました。TTCでは情報転送専門委員会を中心に対応していく予定です。

(4)セキュリティ課題の連携強化: 4月のITU-T SG17会合に向けて、ITS security、e-Health security、smart grid securityなど、セクターに跨るセキュリティ問題の研究を促進するために、SG17の中に新たなQuestion設置の提案を11月のSG17会合に向けて検討していくことを確認しました。TTCではセキュリティ委員会を中心に対応していく予定です。

  次回のCJK-13会合は、韓国TTAのホストにより、2014年4月または5月に釜山で開催される予定です。