Wi-SUN AllianceとのMoUの締結について
3月4日号のブログでZigBee AllianceとのMoU(Memorandum of Understanding)締結の報告をしましたが、同じ頃、MoUを締結したWi-SUN Allianceについては、本ブログで触れておりませんでした。差別や区別をした訳ではなく、年度末の片付け作業に追われ、ブログの発行が遅れました。Wi-SUN Allianceの関係者にはご心配をおかけしました。本ブログでは、Wi-SUNとのMoU締結をご報告すると共に、ZigBee AllianceとWi-SUN AllianceとのTTC標準における違いについて解説します。
3月5日、TTCはWi-SUN Allianceと標準化組織間の協調連携を推進するためにMoUの調印式(調印日は2月21日)を実施しました。写真3はWi-SUN Alliance会長のPhil Beecher氏とTTC前田とのMoU締結のための調印式の模様です。
Wi-SUN Allianceは、IEEE 802.15.4g(ワイヤレスセンサネットワーク向け近距離無線通信の物理層規格)を使用した通信仕様(プロファイル)の策定、相互接続性の確保を目的に2012年に設立された業界団体で、参加会社は約25社です。
TTCでは、HEMS(Home Energy Management System)と住宅内機器を接続する標準インタフェースであるECHONET Lite規格の下位層通信インタフェースを実装するためのガイドラインとして、2012年11月6日にTTC技術レポート「ホームネットワーク通信インタフェース実装ガイドライン」(TR-1043 第1版)を制定しました。
その後、第1版に対し、下位層実装の概要に関し、2013年2月21日に制定(2月25日公開)したTTC標準JJ-300.10「ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース(IEEE 802.15.4/4e/4g 920MHz帯無線)」とJJ-300.11「ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース(ITU-T G.9903狭帯域OFDM PLC)」を反映(改定)し、2月26日に第2.1版を制定しました。
この改訂版の検討においては、ECHONET CONSORTIUM、Wi-SUN Alliance およびZigBee Allianceと共同して TR-1043に記載のTTC標準「ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース (IEEE802.15.4/4e/4g 920MHz帯無線)」(JJ-300.10)を制定しました。
今後、TTC標準策定に必要な情報をお互いに開示できるようにし、標準作成作業を円滑に行なうためにMoUを締結することとしたものです。
Wi-SUN Allianceは物理層とMAC層という下位層を規定し、ZigBee AllianceやECHONET CONSORTIUMは上位層をカバーしているため、互いに競合するのではなく、相補的な関係にあるといえます。また、Wi-SUN AllianceとZigBee Allianceともデータリンク層までは802.15.4/4e/4gで共通ですが、その上の層から差があり、詳細はJJ-300.10にも記載されていますが、Wi-SUN AllianceとZigBee Allianceの差異は以下の2方式に整理できます。プロトコルスタックと各方式との関係を図1に示します。
最後に、写真4は、MoU調印式に参加いただいたTTCとWi-SUN Allianceの関係者の集合写真です。左から、TTCの次世代ホームネットワークシステム専門委員会事務局の谷口康一氏と前田、Wi-SUN AllianceのPhil Beecher会長、原田博司氏、Bhupender Virk氏です。調印式のために英国からわざわざ日本に立ち寄っていただいたBeecher会長とご同伴いただいたWi-SUN関係者の皆様に感謝します。