マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

平成25年・新年のご挨拶 -「ホップ」、「ステップ」から「ジャンプ」の年に向けて-

 皆様、新年明けましておめでとうございます。

  平成25年の新年を迎えるにあたりご挨拶を申し上げます。昨年に引き続き、本年もTTC活動へのご参加とご支援をよろしくお願いいたします。

  専務理事に就任して3回目の新年を迎え、3段跳びで言う「ホップ」、「ステップ」の次の「ジャンプ」を目指す年であると思っています。「ジャンプ」というのは、より高い目標を掲げ、より前に跳ぶという意味です。日本のICT業界はまだまだ厳しい経済状況にありますが、政治環境も変わり、日本復興の機運の盛り上がりの中で、本年はTTCとして「ジャンプ」に向けた挑戦をすることを決意したいと思います。

  本年は「巳(蛇)年(みどし)」。「巳」の漢字の語源は胎児を表し、母親が子供をお腹の中で包み込むようにしている様を現した漢字ということですので、巳年は、新しい誕生を意味する年と解釈できます。一方、漢字の「蛇」からイメージされるものは、機を伺う注意深さと静から動への俊敏な変化。「巳」と「蛇」という二つの漢字から、私は、本年は、厳しい環境を耐えつつも、機運を逃さず、新たなビジネス創造による飛躍を果たす年となるよう期しております。

  その飛躍を期するにあたり、昨年を振り返り、TTCとしての主要な課題目標を確認したいと思います。

  まず、国際標準化への対応方針に関しては、ITU-Tの組織体制変化に対応したタイムリーで適切な対処が必要です。昨年11月にドバイで開催された国際電気通信連合(ITU)の世界電気通信標準化総会(WTSA-12)において、電気通信標準化部門(ITU-T)の2013年から2016年の4年間の研究体制が確立されました。新研究会期では、ITU-Tの従来の技術課題に加え、災害に強いネットワーク、M2M(Machine to Machine)、IoT(Internet of Things)、クラウドコンピューティング、セキュリティ、スマートグリッド、ITS(intelligent transport systems)、相互接続試験などの主管SG(Study Group)を決定しました。これらの課題は昨年開催したTTCセミナーなどで注目してきた課題であり、ITU-Tでの新しいSG課題へのアップストリーム活動に貢献するために、専門委員会とアドバイザリーグループを活用した検討を迅速に進めていきたいと思います。

  また、WTSA-12では、ITU-Tの検討体制を見直すための新組織として「レビュー委員会」の設立を決定しました。この委員会は、日本からの提案が承認されたものであり、ITU-Tにおける現状組織を検証し、新時代に相応しい体制や他の標準化組織との連携の仕方について戦略的に検討する組織として、その成果が期待されます。私はこの「レビュー委員会」の初代議長に任命されたことから、日本国内の有識者の意見を反映しつつ、TTC標準化と国際標準化との整合を図るための連携強化に貢献していきたいと思います。

  M2Mに代表される業界横断での連携が必要な標準化課題への取り組みについては、スマートコミュニケーション社会の実現を目指し、TTCでは、2011年に業際イノベーション本部(I3Cを設置し、昨年には、その下に、スマートコミュニケーションアドバイザリーグループを設立しました。情報通信技術により様々な人、モノ、システムがつながることにより、安全・安心で便利で、地球に優しく、しかも災害に強く経済的な社会の実現を目指し、スマートエネルギー、スマートモビリティ、緊急時の対応、災害対応、健康・高齢化対応等の個別の分野の課題に関する幅広い検討を推進し、本年はこれらの成果を国際会議などで発信を行い、国際標準化への提案に結びつけていきたいと思います。

  特に、昨年7月に世界の7つの主要標準化機関で発足した「oneM2M」への対応について、TTCでは「oneM2M専門委員会」を新設しましたが、本年は、M2Mサービスレイヤーの標準化検討が本格化することを期待しています。また、将来の標準化の研究課題を発掘するため、アカデミアとの連携を図っていきます。

  国際連携に関しては、昨年は、CJK(中国・日本・韓国3ヶ国連携)会合の宮崎でのホストが有りましたが、本年は、インドのGISFIとの合同ワークショップが3月にインドで、CJK会合が4月に中国で、GSC(Global Standardization Collaboration)会合が5月に韓国で開催することが計画されています。また、ITU-Tのデジュール標準を中心とした活動の一層の活性化に加え、フォーラム等のデファクト標準活動と連携した活動を強化していきます。

  普及推進委員会によるAPTプロジェクトを中心としたインドネシア・パランカラヤ市やカリマンタン州、マレーシア・サラワク州バリオ村での実証実験を推進し、マレーシアMTSFB、タイNBTCとの合同ワークショップも予定されています。普及推進委員会は、SHARE(Success & Happiness by Activating Regional Economy)会合を含め、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ、ベトナムなどのアジアを中心とした国際連携を引き続き推進していきたいと思います。

  事業運営に関しましては、近年の厳しい経済状況の中、TTCは引き続き経費節減と事業運営基盤の強化・安定化に向けた取組みを進めてまいります。より積極的に標準化活動を行うため、必要となる資源を確保できるよう、受託業務の拡大や会員数の増加を目指し、TTC事業の拡大及び財務の健全化を目指します。そのために、これまで以上に会員の皆様との一体感が強まるよう、セミナーの開催や展示会への参加などによる情報発信の活性化を図り、TTCのホームページの充実化によるTTC活動の「見える化」を促進する等、様々な取組みの実践を目指したいと思います。3年目を迎える「マエダブログ」も継続したいと考えており、ライブでホットな標準化の話題を情報発信して参ります。

 

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ドバイ ブルジュ・ハリファ
を背景に

 最後に、標準化の推進と普及活動を通じ、我が国の競争力のさらなる向上を目指しつつ、途上国支援やアクセシビリティの検討による国際社会への貢献ができるよう、微力ではございますが、本年も最善を尽くして行きたいと思います。昨年の活動の振り返りの中で、11月にドバイで開催されたWTSA-12は、私が8年間務めてきたSG15議長の任期満了となる区切りのイベントとなるとともに、新たに「レビュー委員会」議長を拝命し、新たな国際標準化活動のターニングポイントの機会ともなりました。ドバイにそびえるブルジュ・ハリファのような世界レベルの高さを目指し、ドバイでの日の出に2013年の飛躍を祈りたいと思います。

  本年がTTCにとって素晴らしい「ジャンプの年」になるよう祈念して、新年のご挨拶といたします。何卒ご支援ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

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 ドバイの日の出