TTCセミナー「スマートテレビの現状と今後」の開催に向けて
世界各国であらゆるものの「スマート化」が進む中で、私が最近特に気になっているのが「スマートテレビ」です。「テレビ」事業で長い間世界をリードしてきた日本の家電メーカーですが、近年、世界における日本のテレビ市場シェアは低下し、放送コンテンツ輸出金額も低下するなど、日本企業の業績不振が報道され、一方で、韓国勢の「スマートテレビ」をキャッチフレーズとした活躍が目に付くようになりました。前回のブログで報告したASTAP会合のためにバンコクに出張した際も、バンコク空港の近くの大看板で目立っていたのも韓国メーカーの「スマートテレビ」でした。
韓国政府は、2011年4月に「スマートテレビ発展戦略」を策定し、国際競争力の強化を支援すると共に、2012年5月には「HTML5基盤オープンプラットフォーム標準開発の推進」政策を打ち出し、標準化の強化を図っています。
日本企業の不振は円高や東日本大震災、更にタイの大洪水と要因はあるでしょうが、問題の本質はなんでしょうか?はたして「テレビ」固有の課題はあるのでしょうか?また、「スマートテレビ」の本質は何か?今後我々が取り組むべきことは何か?グローバルな競争力を確保するためにするべきことは何か?これらの疑問に応えるべく、TTCでは、「スマートテレビの現状と今後」に関するセミナを開催したいと考えています。
総務省は6月12日に開催された国際シンポジウムにおいて、放送とウェブを連携させる新しいサービスとしてのスマートテレビを推進するため、「スマートテレビの推進に向けた基本戦略」:PDFhttp://www.soumu.go.jp/main_content/000168945.pdfを公表しました。新しいスマートテレビは、「放送・ウェブ連携」、「多様なアプリケーション・コンテンツの提供」、「端末間連携」の3つの基本機能を具備することが必要であり、これらの基本機能を最大限に活かしてユーザーの利便性・選択肢を広げ、市場を拡大するために、基本戦略に基づく取組を迅速に推進する、というものです。
これまでTTCでは、IPTV専門委員会において、ITU-T SG16に対して、IPTVサービスに関わる技術の国際標準化を推進してまいりました。総務省の発表の「スマートテレビの推進」では、最初に「放送の観点」からの検討が進められるようですが、今後進められる、「通信の観点」での「スマートテレビ」の企画検討および標準化においては、IPTVで培った技術や標準化活動が活かされるものと思っています。また、クラウドやソーシャルネットワークの活用、ユーザ製作コンテンツにみられるインターネット技術と文化の発展、ネットアクセス端末の多様化と多様な選択肢により、ユーザ主導のコンテンツ利用の環境が実現されるようになり、通信を利用したコンテンツ配信の新しいあり方を考える時期がきたと思っています。
TTCでは、この時期に、スマートテレビに関するサービスと標準化課題を明らかにするために、ITU-TのみならずW3Cのフォーラムでの標準化活動を推進する専門家の皆様にお集まりいただき、TTCセミナー「スマートテレビの現状と今後」を10月23日午後に開催することとしました。今後の「スマートテレビ」について、日本国内での幅広い議論をいただける機会としていただくためにも、多くの皆様のご参加を期待しています。