既存電話網からIP網への移行のための標準化について
既存の公衆電話網のことをPSTN(Public Switched Telephone Networks)と呼びますが、従来の電話サービスは需要が縮小し、IP(Internet Protocol)技術をベースとしたインターネット電話、ポータル検索や電子ショッピング、音楽や映像のコンテンツ配信など、サービスの大変革が起こりつつあります。また、端末種類の拡大やルータやサーバー技術の発展に加え、PSTNを支えてきた電子交換機の寿命などを考慮すると、今までのPSTNをベースとした通信のコアネットワークをIP網ベースに移行していくための準備を始めなければいけません。しかし、現時点では、異なる事業者間のIP網同士の接続を実現にはいくつかの課題があり、事業者間相互接続を実現するためのインタフェースの標準化が必要となります。
TTCでは、この課題を「PSTNマイグレーションにおける標準化」課題として捉え、電話網(PSTN)からIP網への移行の進展を踏まえた標準化を順次進めていくことにしました。
PSTNマイグレーションに関する議論の始まりは、2010年11月2日に、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)および西日本電信電話株式会社(NTT西日本)からの「PSTNマイグレーションに関する概括的展望」の発表に寄ります。
発表では、2020年頃からコアネットワークのPSTN既存電話網を2020年頃から計画的な移行を開始し、2025年頃に完了する考えです。
これを受け、「PSTNマイグレーションに係る意識あわせの場」にて関係事業者間で、事業者間のIP網接続を円滑かつ効率的に進めるために必要となる技術・運用課題が議論され、その議論の状況は、2012年4月11日のTTCセミナーの場でも紹介され、TTCとしても、「PSTNマイグレーションに係る意識合わせの場」の活動を支援しています。
今回、「PSTNマイグレーションに係る意識合わせの場」で議論がさらに進み、事業者間での相互接続で必要な標準化課題の一部が明らかにされ、標準化に向けた議論、標準文書の策定について、TTCでの検討の依頼を受けました。これを受け、TTCでは、PSTNマイグレーションに関わる標準化を推進すべきと考え、関連専門委員会(①NGN&FN専門委員会:後藤委員長、江川副委員長 QoS-WG 松本リーダ 、②信号制御専門委員会:蓑田委員長、斉藤副委員長 )と調整し検討に着手することと致しました。
今後「PSTNマイグレーションに係る意識合わせの場」からの新たな標準化要望については関連専門委員会での会員要望という形で逐次標準化議論を開始して参りますので、関連委員会へのご参加をお待ちしております。まだ、TTC会員でない方は、入会案内をご覧ください。