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マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

第5回「災害に強いICTを考えるTTCワークショップ」現地視察会を終えて

 昨年3月11日の東日本大震災を契機に、どんな時にも通信のつながることの大切さ、ライフラインとしての通信の重要性が再認識され、国際標準化会議の場でも、災害に対応したICT技術の活用と耐災害性に関する対処についての検討への関心が高まっております。TTCでは、昨年4月から「災害に強いICTを考えるTTCワークショップ」を開催し、震災でのネットワークインフラの被害状況の把握と今後どのような課題を検討すべきであるかについての議論を行なってきました。

  この度、第5回のワークショップを開催することとなり、その案内については5月18日号のブログで紹介しました。そして予定通り、6月19日午後と20日、宮城県仙台市において、講演会、意見交換会、そして現地視察会を実施しました。

  19日15時からのワークショップの講演会では、85名の参加者があり、5名の講師から以下の発表が行われました。

No タイトル 講演者
1
開会挨拶
プログラム委員長
江川 尚志 氏 
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2
耐災害ICT研究への取り組み
(独)情報通信研究機構
耐災害ICT研究センター長
根元 義章 氏 
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3
東日本大震災による通信網被災の状況と災害時の通信確保
NTT東日本 宮城支店
副支店長兼設備部長
真木 勝郎 氏
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4
ITU-Tにおける災害対応通信の標準化動向
NTT アクセスサービスシステム研究所
(FG-DR&NRR議長)
荒木 則幸 氏
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5
東日本大震災から復興に向けて
~これから必要な支援とは~
情報支援プロボノプラットフォーム(iSPP)
玉槻 功 氏
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  台風4号の日本縦断の影響が心配されましたが、台風は19日の夜中に仙台付近を通過し、20日朝からは雨も上がり、現地視察会は無事に終了することができました。本ワークショップの開催にあたり、ご賛同、ご支援を頂きました方々に御礼申し上げます。特に、被災地の通信設備の視察におきましては、NTT東日本 東北復興推進室、NTT東日本宮城支店、及びNTTAS研の皆様の多大なるご協力を賜り、心から御礼を申し上げます。

  今回のブログでは、現地視察会の模様をご紹介します。

  現地視察会では、59名の方にご参加いただきましたが、大型バス2台を利用し、朝8時50分に、図1の①仙台駅西口を出発し、②南三陸(志津川)周辺、③女川周辺、④石巻港周辺を経由して、夕方17時20分に仙台に戻りました。以下に視察ルートに従っての模様を写真で紹介します。

図1. 視察エリア
図1. 視察エリア

 仙台駅から二時間半をかけ、国道398号から志津川沿いに南三陸町に下ると志津川港周辺の景色が目に入ってきました(写真1)。川沿いに積まれた廃車の山と土台の痕跡だけが残った港町の風景です。

  写真2は、津波避難を最後まで呼び掛けてくれた町職員の女性が亡くなられた志津川防災センター跡です。辺は地盤沈下が大きく、昨夜の台風の雨の影響もあり至るところが冠水していました。

写真1 - 志津川周辺
写真1 - 志津川周辺
写真2 - 志津川防災センター跡
写真2 - 志津川防災センター跡

 南三陸町では、NTT志津川ビル(写真3)の被災した通信設備を視察すると共に、NTT東日本 東北復興推進室及びNTT東日本宮城支店の方々によるパネルでの復旧作業に関する説明を受けました(写真4)。

写真3 - NTT志津川ビル外観
写真3 - NTT志津川ビル外観
写真4 - NTT志津川ビル
写真4 - NTT志津川ビル

 南三陸町を離れ、途中ホテル観洋で昼食をとり、午後15時に、女川に到着しました。女川周辺では、建物として唯一残っているNTT女川ビル周辺を見学しました(写真5)。

  女川周辺は南三陸町に比べ、ガレキの片付けと整地は進んでいるようでしたが、女川港には90度に転倒したビルが何棟か残っており、津波の威力を実感しました(写真6)。

写真5 - NTT女川ビル
写真5 - NTT女川ビル
写真6 - 女川
写真6 - 女川

 女川を離れる前に、女川原発オフサイトセンターを車中より見学しました(写真7)。女川港周辺の片付けられたガレキはオフサイトセンターの周りの裏山の方にうずたかく積まれており、改めて被害の大きさを思い知らされました(写真8)。

写真7 - 女川周辺
写真7 - 女川周辺
写真8 - 女川原子力監視センタ
写真8 - 女川原子力監視センタ

 

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 女川から仙台駅前に戻る際に、石巻港周辺を経由しました。製紙工場など一部操業が復活しているエリアもありましたが、石巻周辺にも津波の爪痕は大きく残されており、「がんばろう石巻」の看板に複雑な思いを感じざるを得ませんでした。

 19日のワークショップ講演会の講師のお一人で、情報支援プロボノプラットフォーム(iSPP)の玉槻功様が、東京方面からワークショップに参加した聴衆に対して、「先ずは被災地の現地を見て感じてください。」という言葉で講演を終わられましたが、今回の視察会はその機会を与えてくれたと思っています。多くの皆さんが、現地を見て、被害の現実を肌で感じ、我々に何が出来るかを考えていきたいと思います。

  私たちは、この未曽有の危機を乗り越え、新しい日本社会を創造し、世界に対して貢献することができるかどうかが問われています。TTCは、公益を追求する強い意志と新しい社会を創造しようという企業家精神で、尽力していければと、改めて想いを強くしました。