第7回SHARE会合開催と普及推進活動について
TTCにおける普及推進委員会は ”SHARE” (Success & Happiness by Activating Regional Economy) をスローガンに、アジア各国と連携し、各国の遠隔過疎地域での情報格差の解消に向け、ICTを利活用したソリューションの普及を推進し、共生・互恵社会の実現を目指した標準化活動を推進しています。
このスローガンを冠し、活動の中核となるアジア各国のキーパーソンが一堂に会する会議 “SHARE MEETING” の第7回会合を5月18日(金)に東京(TTC会議室)にて開催しました。この会議はTTCがホストし、参加国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムで、今までの普及推進活動の中で、APT(アジア太平洋電気通信共同体)のパイロットプロジェクトを通じて、TTCと連携した活動を行なってきた各国の代表者が日本に集まりました(表1)。
日本からは、普及推進委員会の委員長である村上仁己先生、普及推進活動をご支援いただいている井上友二TTC顧問をはじめとする普及推進委員会の事務局と委員会の会員会社(NTT、NEC、沖電気、三菱電機)の関係者が参加しました。
APTのパイロットプロジェクトでの活動例としては、2008年のフィリピンにおけるE-Agriculture、インドネシアにおけるE-Healthに始まり、2009年はマレーシアにおけるE-Education、2010年にはインドネシアにおけるE-Environmentなど、各国の特にルーラルエリア(過疎地域)の生活レベルをICT技術により向上させるためのケーススタディのプロジェクトを推進してきました。これらのプロジェクトの成果は今までTTCレポートで報告していますが、最新のマレーシアとインドネシアでの活動については、TTCレポートの最新号、2012年4月号でご覧いただけます。
今回の “SHARE MEETING”は、5年に亘る今までの普及推進活動を総括すると共に、今後の新たな方針を議論する機会であり、井上顧問による基調講演が行われました。各国の代表者からは、各パイロットプロジェクトの実施状況・成果・課題・今後の展開方針についてプレゼンテーションが行われ、各地域で抱えている問題の紹介と日本企業への今後の一層の支援の期待が表明されました。さらに、それらの事例をもとに、今後、各国のこれまでの成果をどのようにアジアの他国に水平展開していくかについて議論しました。
SHARE会合を日本で開催することにより、日本側会員企業の参加者も多く、会合を通じて、各国ルーラルエリアで切実なニーズをベースにしたプロジェクト報告に大きな関心を寄せられていました。各国のケーススタディと日本への要望から、将来のビジネスチャンスのヒントが得られたのではないかと期待されます。
表1:各国の代表者
インドネシア
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Mr. Aizirman Djusan
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情報通信省
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Mr. Irbar Samekto
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情報通信省
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Dr. Suwido Hester Limin
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パランカラヤ大学
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Mr Siun Jarias
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中部カリマンタン州政府
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マレーシア
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Dato’ Ismail Bin Osman
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マレーシア技術標準フォーラム
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Prof. Khairuddin Ab Hamid
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マレーシア サラワク大学
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フィリピン
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Mr. Louis N. Casambre
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科学技術省ICT局
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Professor Gregory Tangonan
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アテネオ大学
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タイ
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Mr. Anan Pusittigul
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農業協力省
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Dr. Asanee Kawtrakul
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NECTEC
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ベトナム
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Mr. Binh Xuan Do
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情報通信省
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終わりに、TTCの普及推進委員会の活動を今まで核となって推進してきた岩田秀行さんが、第44回世界情報社会・電気通信日のつどいの記念式典で、日本ITU協会賞の国際協力賞を受賞するという吉報があり、今回のSHARE会合前日の5月17日(木)に東京(京王プラザホテル )で開催された授賞式で表彰されました。国際協力賞は「世界情報社会サミットにおける基本宣言および行動計画の実現ならびに国際協力活動に貢献し、その功績が著しい方。」に贈呈されるもので、岩田さんは、普及推進委員会の活動を中心としたAPTでの多くのプロジェクト推進を通じて行なった途上国のICT利用に多大な貢献を行なったことが評価されたものです。TTCでの普及推進活動への評価でもあり、この受賞の喜びを分かち合いたいと思います。岩田さん、おめでとうございました。