マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

「ITU Kaleidoscope 2013会議」の京都開催決まる

 ITU Kaleidoscope 会議 とは、ITUの標準化活動に、研究機関や大学などのアカデミアの方々を招き、長期的視野の標準化や最先端の研究課題を取り込むことを狙いとしたITUが企画するイベントです。将来に向け様々に変貌する革新技術を自由に展望する意図から“万華鏡”を意味するKaleidoscopeと命名されました。年一回程度の開催頻度で、毎回特集テーマを決めて論文募集を行い、査読評価を経て採録された論文を対象に講演発表による学術的国際会議の形式で実施されます。

  第3回のITU Kaleidoscope 2010については、「標準化とアカデミア」と題して、2011年1月28日のブログで紹介しましたが、その後、第4回会議が2011年12月に南アフリカのケープタウンで開催されました。そして次回の第5回会議は、2013年4月に、日本の京都(京都大学)で開催されることが決定されました。

  今後、本会議の日本開催に向けた準備を行うために、国内で会議運営支援をいただく有志会社・組織を募り、会議誘致運営のための組織が立ち上げられる予定です。私は、2008年から2010年の本学術会議の総合議長を行なった経験があることから、今回、ITU側のホスト委員会の一委員に指名されました。このKaleidoscope会議は、将来の標準化課題を発掘する機会として有益であり、TTCとしても会議運営のための支援に貢献したいと考えています。今回のブログでは、そのプロモーション活動のひとつとして、ITU Kaleidoscope 2013京都会議の概要を紹介します。なお、2008年から開催されてきた過去のITU Kaleidoscope会議については、ITUのサイトから参考いただけます。

  第5回となる京都会議のテーマは「Building Sustainable Communities 」「持続可能社会の構築」と題し、将来のネットワーク技術やサービスに関する議論だけではなく、社会経済学や文化、倫理などの観点から幅広い議論を行います。そのテーマ内容と論文の募集要項についてはCall for Paperをご覧ください。

  今後の主要なスケジュールとしては、以下が重要なマイルストーンです。

  • 論文の投稿締切:2012年9月10日
  • 論文採録通知:2012年11月12日
  • 写真製版採録論文提出:2012年12月3日

  採録論文は講演形式で3日間のセッションの中で発表されます。ITU Kaleidoscope 2013では、2013年4月22日から24日に、京都大学百周年時計台記念館で発表会が行われます。本会議の特徴のひとつとして、最優秀論文賞として、上位3件の論文に対し、総額10000ドルの賞金が提供されます。論文選定は、発表論文の中から審査評価が行われます。今までに多くの日本からの投稿者が受賞しており、本会議への日本の貢献は大変に大きいものです。京都会議に向け、より多くの論文投稿がされることを祈っています。

  本会議の運営はITUが取りまとめますが、運営資金については、スポンサーを募集し、最優秀論文賞への賞金や会議運営費用などに充当されます。スポンサーの会社・組織ロゴは論文募集案内ポスターやITUに関するホームページなどに掲載されます。本会議の案内、宣伝などはITU加盟193ヶ国に、世界規模で展開されますので、その宣伝効果は大変大きいと思われます。各企業の皆様に、スポンサー貢献を検討されることをお薦めします。

  本会議のテクニカルスポンサーとして、今までIEEEの通信ソサエティ(IEEE ComSoc)が協催していますが、今回の会議では、社団法人電子情報通信学会(EiC)が加わることとなりました。本会議の優秀論文はIEEEで最も発行部数の多いIEEE Communication Magazineに掲載されるという特典が得られます。また、アジアで最大規模の電子情報通信学会が協催することにより、日本だけでなく、中国、韓国をはじめとするアジア地域のアカデミア関係者の参加、論文投稿が多くなることが期待されています。

  本KaleidoscopeイベントはITUのアカデミアとの連携を強化するための企画のひとつですが、この他の企画として、ITU-Tでは会員の分類に、通常の会費に比べて割安の年会費でITU-Tの標準化会議に参加できるアカデミア会員を設けています。日本では、早稲田大学と東京大学が会員として登録されています。TTCの標準化においても、今後のアカデミアの皆さんとの連携は重要であり、大学や学会などとの繋がりを強くするための企画に知恵を出していきたいと思います。

  テーマの「Building Sustainable Communities 」は大震災を経験した日本にとって関係の深い課題であり、日本での記念すべきKaleidoscope会議を皆さんとともに盛り上げていければと思います。積極的な参加、貢献をよろしくお願いいたします。

京都大学百周年時計台記念館
京都大学百周年時計台記念館