マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

新年のご挨拶

 平成24年の新年を迎えるにあたりましてご挨拶を申し上げます。

  昨年3月11日の東日本大震災により被災された皆さまには心よりお見舞い申し上げます。復旧から復興に向け、TTCでは、日々の節電や多方面の義捐・支援活動だけではなく、電気通信インフラの災害対策や高信頼化に向けた標準化での議論を通じて、一日も早い日本復興に貢献できるように心がけていきたいと、新年の想いを新たにしております。

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 本年は「辰年」。あたかも龍が天に向かい上昇して行くかのごとく、大震災などの不遇な時があろうとも、また立ち上がり、上へ上へと上昇しようと努力をすれば、必ず報われる年となってくれるよう祈っています。

  この年頭にあたり、昨年を振り返り、TTCとしての新たな課題目標を確認したいと思います。

 世界規模の金融不安、円高の影響で、日本の政治、経済状況はまだまだ厳しい状況が続き、グローバルなビジネスでの競争はますます激しくなっています。中国やインドの将来の大きな市場の可能性を背景にした国際社会での発言権の高まり、国連を通じた開発途上国からの標準化格差是正に向けた先進国への支援要望の高まり、気候変動やスマートグリッド・スマートコミュニティ時代におけるユーザ視点と環境を意識した通信(ICT)の新しい役割への期待の拡大、大手ベンダによる通信キャリアのグローバル市場の寡占化の進展など、世界は明らかに新しい枠組みに向かって動きつつあります。

  この新しい動きを捕まえるため、TTCでは昨年4月に、業際イノベーション本部(I3C)を設置し、スマートグリッドとスマートカーに関するアドバイザリーグループと連携し、業界横断による新事業創造に寄与できる新しい標準化課題に取り組んできました。今年は、その普及推進をM2M(Machine to Machine)やIoT(Internet of Things)、さらにITS(Intelligent Transport System)の課題についての具体化を図っていく年になると考えております。

TTCは、平成20年12月に施行された新公益法人制度に基づき、一般社団法人への移行認可申請を行い、昨年4月1日に「一般社団法人情報通信技術委員会」(英文名は従来通り:The Telecommunication Technology Committee)となりました。引き続き、情報通信ネットワークに係る標準を制定することにより、情報通信分野における標準化に貢献するとともに、その普及を図ることを目的に事業展開を行います。TTCは四半世紀の歴史を持つ組織ですが、世の中が常に進化を続ける中、グローバルビジネス戦略上、標準化の重要性はこれまで以上に高まってくると考えています。

  グローバル展開の機会を拡大するために、TTCは昨年、ITUとCJK(中国、日本、韓国)との標準化連携の枠組みを確立しました。また、インドマレーシアタイとの標準化協調関係の確立やインドネシア、フィリピン、マレーシアへの標準化普及推進活動の展開を積極的に図り、アジア主要国と連携した展開の基盤が出来つつあると認識しています。

  TTCの本来の標準化作業に関しては、昨年2月の総務省の情報通信審議会及び5月の電気通信システム委員会の決定により、ITU-Tへの標準化アップストリーム活動について、TTCの専門委員会を活用する方針が出され、TTCは、ITU-TのSG3(料金制度)、SG9(CATV)、TSAG(作業方法)を除く全てのSGの寄書や対処方針の検討を行うことになりました。これに伴い、3つの専門委員会と2つのアドバイザリーグループを新設し、その結果、TTC会員の増加にも効果がありました。今後は、専門委員会での活動を中心に、ITU-Tでの標準化結果を踏まえ、他のデジュールやデファクトの標準化組織との一層の連携強化を図り、タイムリーな国内標準策定への反映を図ることが重要となると考えます。

  近年の厳しい経済状況の中、TTCでは平成18年度以降、事業運営基盤の強化・安定化策について検討を行い、大胆な経費削減を行うなど改善の取組みを進めてきましたが、今後は、より積極的な標準化活動に必要な資源を確保できるよう、会員数、専門委員会登録者数の増加を目指し、TTC事業の拡大及び財務の健全化に向け、これまで以上に会員の皆様と事務局が一体となって取組んで行きたいと思います。

  TTC活動の「見える化」を促進するために、セミナの開催などによる情報発信の活性化を図ると共に、TTCのホームページの充実化を図ります。昨年から開始した「マエダブログ」も継続し、ライブな標準化動向を元にした情報発信を図っていきたいと考えております。

  日本はやはり、ナンバーワンを目指す技術開発力を糧に、国際標準化活動を通じ仲間を作り、世の中の情報を的確にとらえ、浮き沈みの激しい時代の中で、「龍の如く」上昇気流に乗って行く機会を見出さなければなりません。「日本の復興に向けた上昇」のために、一つ一つの仕事を磨き、積み上げて行くことを今年のTTCの活動方針にしていきたいと思います。

  標準化の推進と普及活動を通じて我が国の競争力の向上に貢献できるよう、微力ではございますが最善を尽くす所存でございます。何卒ご支援ご鞭撻を賜りますよう、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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