ITS Communicationsに関する標準化の新たな動き
8月24日に京都(Kyoto Research Park)で、ITS(Intelligent Transport System)Communicationsの標準化に関するISOとITUとの合同主催によるワークショップとタスクフォースのアドホック会合が開催されました。(写真は会場の模様)
この会合は、ITSにおける通信活用に関する標準化をISOとITUが連携して推進するためのISO/ITU合同タスクフォースを設立することを目的にしたもので、午前中は合同ワークショップを開催し、関連機関での活動状況に関する情報交換を行ない、午後の合同アドホック会合では、ITS通信に関するISO/ITU合同タスクフォースの坦務課題や検討体制などの組織活動規定案を議論しました。
ISOとITUが連携した標準化課題の例としては、MPEGで知られる画像符号化の標準化がありますが、今回の「ITS Communications」に関しては初めての試みです。この合同での取り組みは、最近話題のIoT(Internet of Things)におけるサービスの具体化議論として、スマートグリッドに並びスマートカーの標準化を推進する方策として、ITU-Tからの声掛から始まったものです。
今までのITS標準化に関連するプレーヤーは、通信業界では、ITU-Tよりは無線関連のITU-Rに実績があり、また、産業界では、通信業界よりも自動車業界が主であり、関連の標準化は既にISOでの実績があります。さらに、日本の行政的には、警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省が関係しているという現状があります。その中で、今後、自動車間の通信が高度化し、スマートグリッドの中で電気自動車が通信網につながることで、ネットワークサービスとしての通信の活用に重点を置く「ITS Communications」の標準化の重要性は益々増すと考えられます。
そこで、既存の様々な組織が関連する「ITS Communications」の課題検討を、組織間の重複がなく効率的に進めるには、ISOとITUが連携して進める枠組みを作ろうと考え、合同タスクフォースの体制を構築することを目指しています。
TTCでは、スマートグリッドとスマートカーに関するアドバイザリーグループを立ち上げたところであり、「ITS Communications」標準化の推進に寄与したいと考え、会合運営はTTCがホストになることにしました。また、会合参加者の便を考え、ISO TC204のWG16会合の京都開催と併催することと、ITU-TのDriver Distractionに関するフォーカスグループ会合を同じ週に同地開催とすることにしました。会合運営支援ではNICT(National Institute of Information and Communications Technology)のお世話になりました。また、ITU-Tで本課題に密接に関連するITU-T SG16の内藤悠史議長(三菱電機㈱ 情報技術総合研究所 技術アドバイザー)のご支援を得ました。ホスト代表として御礼を申し上げます。
会合案内と会合での講演内容については、ITU-Tのホームページhttp://www.itu.int/ITU-T/worksem/its/index.htmlから入手できます。
ワークショップのオープニングでは、会合ホストを代表してTTCの前田が挨拶を行うとともに、ISOとITUの事務局をそれぞれ代表して、ISOはTC204の技術プログラムマネージャのAndrew Dryden 氏が、ITU-TはTSB次長のReinhard Scholl氏がITU-TとITU-Rの両方を代表して挨拶を行ないました。
その後、基調講演として総務省通信規格課の深堀道子分析官が、特別招待講演としてNICTの堀智織研究員が発表を行いました。その後、世界各国の主な標準化組織におけるITS通信に関する標準化動向の紹介を行い、情報交換を図りました。国際標準機関としてISO TC204 WG16とITU-Tが、地域標準化組織として、米国からTIA、中国からCCSA、欧州からETSI、そして日本からはARIBとTTCの発表が行われました。また、ITS関連標準化組織として米国からSAE(Society of Automotive Engineers)が参加しました。講演内容については上記のURLを参照してください。
開催案内が開催の直前であったのと夏休み期間中の開催であったにも関わらず、欧米を含む複数の標準化機関から、50人近い多くの参加者が得られ、無事開催できたことにホストとして安堵しています。
最後の写真は、ITU-TのScholl氏が、25日の帰国フライト前の空き時間に、内藤議長の案内で上賀茂神社を訪れ、絵馬に「ISO/ITU合同タスクフォースの成功を祈る」の想いを祈願した時のものです。