ITUとCJKとの共同覚書の締結について
今回のブログは、本年2月のブログで紹介した「TTCの国際連携への取り組み」に関する続編で、その後の進捗を報告するものです。
TTCは、この度、国連の国際電気通信の標準化を扱うITU(The International Telecommunication Union)とCJK(中国、日本、韓国)の主要標準化組織である中国のCCSA(China Communications Standards Association)、韓国のTTA(Telecommunications Technology Association)、日本のARIB(The Association of Radio Industries and Businesses)(注1)との間で、共同のグローバル標準化に関する相互連携のための覚書(MoU:Memorandum of Understanding)を締結することに致しました。
TTCはITU-Tとの関係においては、ITU-T勧告A.6「国内及び地域標準化組織とITU-Tとの情報交換と協力」にて、標準化組織として認められていますが(注2)、今回の覚書は、ITU-TとITU-Rを含むITUとして、TTCとの連携を明確にすると共に、その連携は、CJKでのARIB、CCSA、TTA、TTCの共同合意であることから、TTCの標準化組織としての付加価値と、国際的な位置づけを高めてくれるものであり、TTCの国際連携強化戦略における重要なステップと考えています。
ITU-Tのジョンソン局長とは、本年2月に面会した際に、「近年のITUにおけるCJKの存在感は目を見張るものがある」という認識の上で、ITUの価値を高め、CJKの意見を反映しやすくするために、「ITUとしてCJKの標準化活動を踏まえ、アジアの国内標準化との効率的な国際連携強化を図る枠組みが構築できれば望ましいことである。」という点で意見が一致しました。
今回締結した共同MoUでは、早期の段階から標準化課題に関する情報を交換し、グローバル標準化と地域標準化との無駄な重複検討を避けるとともに、標準化における合意形成の迅速化を図ることを狙いとしています。
我が国にとって、ITUが国連におけるICT分野でのグローバル標準化組織としてグローバル標準化をリードしてくれることは望ましいことであり、また、各国の国内標準の検討を踏まえ、我々の要求条件を反映したグローバル標準がタイムリーにかつ効率的に制定されることは望ましいことであります。
グローバル標準化組織としては、ITUの他にISOとIECがありますが、ITUとISOとIECとの3機関の間にはWSC(World Standards Cooperation)という協調の枠組みがあり、共同MoUでの標準化課題をITUがISOやIECとの連携も図ることで、世界の標準化活動の一層の効率化が期待できると考えます。
今後、この共同MoUの下で協力検討する具体的な課題については、個別に検討することになりますが、当面の重要課題としては、IoT(Internet of Things)と言われる概念の下で、サービスとしては、ITS(Intelligent Transport System)、スマートグリッド、eHealthなどに関する標準化を対象にしていく予定であり、欧州ETSIの提案するM2M(Machine to Machine)との関係についても議論していくことになるでしょう。
このMoUの調印式にあたっては、本年4月に日本開催を予定していたCJK会合の機会に代表者が集まる予定でしたが、東日本大震災の影響を考慮し、CJK会合が延期され、合同での調印式が実現できなくなりました。早期の調印を行うため、ジュネーブ、北京、ソウル、東京で、MoUを順次署名し、郵送することで合同調印式を代替することとしました。
7月6日には、TTCでの署名を最後に、MoUの各標準化組織の代表者による署名作業を完了し、正式なMoUが締結されました(参考:MoU表紙)。この締結を公に広めるために、ITUからプレスリリースを共同で作成し、以下のURLで発表しました。
http://www.itu.int/net/pressoffice/press_releases/2011/22.aspx
注1)関連標準化組織のウェブサイト
ITU: http://www.itu.int/en/Pages/default.aspx
ARIB: http://www.arib.or.jp/english/index.html
CCSA: http://www.ccsa.org.cn/english/
TTA: http://www.tta.or.kr/English/
注2)TTCとしてITU-T勧告A.5およびA.6の適格確認を取得