新年のご挨拶 「脱兎のごとく」
本年は「卯（兎）年」。激動が予想される一年を乗り越えるに当たり「兎」に何かあやかりたいとネットサーフィングをしてみましたが、国産大衆車「ダットサン」のルーツは「DAT CAR」（脱兎号）につながると知り、今年は、ネットワークと繋がったEV（電気自動車）が日本中を「脱兎の如く」走り回る時代の幕開けとなるのでは、と夢見ているところです。日本の政治、経済状況はまだまだ厳しい状況が続き、グローバルなビジネスでの競争はますます激しくなるでしょうが、「兎の耳」で世の中の情報を的確にとらえ、激動の時代を「脱兎の勢い」で走り抜けることを期待しています。「兎にも角にも」、「二兎追うものは一兎も得ず」ということにならぬよう、また「兎の昼寝」のように油断をすることなく、一つ一つの仕事を積み上げて行くことを今年のTTCの活動方針にしていきたいと、新年にあたり誓ったところです。
「兎」の言葉遊びはここまでにして、年頭にあたり、TTCとしての新たな課題目標を述べ、新年のご挨拶とさせていただきます。
TTCでは、平成20年12月に施行された新公益法人制度に基づき、昨年11月には、法人としての自主性を一層発揮できる「一般社団法人」への移行認可申請を行い、平成23年4月1日での移行を期待して内閣府の最終審査を待っているところです。新組織の名称と事業目的は現状をほぼ継承し、「一般社団法人 情報通信技術委員会」（英文名：The Telecommunication Technology Committee）となる予定です。この新法人は、情報通信ネットワークに係る標準を制定することにより、情報通信分野における標準化に貢献するとともに、その普及を図ることを目的に事業展開を行います。TTCは四半世紀の歴史を持つ法人組織ですが、世の中が常に進化を続ける中、ビジネス戦略上、標準化の重要性はこれまで以上に高まってきており、また、標準化活動の場も益々多種多様になってきております。この一般社団化を契機として、TTC自体の一層の変革、改善を推進したいと思います。
近年の厳しい経済状況の中、TTCでは平成18年度以降、事業運営基盤の強化・安定化策について検討を行い、大胆な経費削減を行うなど改善の取組みを進めてきましたが、今後は、より積極的な標準化活動に必要な資源を確保できるよう、会員数、専門委員会登録者数の増加を目指し、TTC事業の拡大及び財務の健全化に向け、会員の皆様と事務局が一体となって取組んで行きたいと思います。
会員数の増加には、基本は専門委員会を中心とした標準化活動の充実であり、その活動の「見える化」を促進するために、TTCのホームページの充実化を図るとともに、セミナの開催などによる情報発信の活性化に努めます。また、従来の事業活動に加えて、TTCが、世界市場を睨んだ新たな市場形成につながる標準化活動の推進と日本としての方向性の議論ができる場を提供することにより、新たな業種・業態の会員を発掘することが重要であると考えています。昨年までに、アジア連携のための普及推進委員会の活動推進、スマートグリッドに関するアドバイザリーグループの新設など新しい標準化課題に取り組んできましたが、今年は、業界横断による新事業創造に寄与できる標準化策定とその普及推進を行う仕組み作りとして、事務局内に業際イノベーション本部（仮称）を設置する計画をしています。
近年、グローバルビジネス社会における国際競争力強化のための標準化戦略の重要性に関心が集まるようになってきましたが、グローバル化には語学力だけではなく、日本が誇れる技術力と信頼に基づくヒューマンコミュニケーション力の育成が重要です。また標準化戦略の中で、フォーラム標準の重要性が議論されていますが、今後のITU-Tを核としたデジュール標準化の維持と活用と、デファクトとデジュールを連携することによる社会のニーズに整合した標準化の推進が重要と考えます。このため、一層効率的で柔軟な標準化活動を実施できるように、アジア地域におけるASTAPやCJKでの連携を継続するとともに、TTCと他の標準化組織との国際連携を強化することが有効と考えます。既にTTCには、ETSIやIEEEなどとのMoUを締結した連携関係がありますが、さらに、BBF (Broadband Forum)などの新しい連携構築を推進し、今後ともTTCが国際組織、国、民間の相互連携の一翼を担うことにより、日本における情報通信ネットワークに係る標準化の中心組織としての地位をさらに強固なものにしていきたいと思います。
井上友二理事長(現ＴＴＣ顧問）のご退任に伴い、後任として、昨年10月1日にTTCの専務理事に就任し、はや三ヶ月となります。標準化の推進と普及活動を通じて我が国の競争力の向上に貢献できるよう、微力ではございますが最善を尽くす所存でございます。何卒ご支援ご鞭撻を賜りますよう、本年もどうぞよろしくお願いいたします。