新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。
近年、地震や台風、豪雨等の自然災害や大規模な事故や障害が増えてきており、これに伴う被害も甚大なものとなっています。情報通信ネットワークを含め、災害や事故・障害が発生した後の社会基盤サービスの維持・早期復旧に向けた迅速な対応は非常に重要です。これら災害・事故等後の迅速な対応のための取り組みに対し、少しでも貢献してまいりたいと考えております。他方で、気候変動による温暖化による日頃の生活への影響が日々実感されるようになっております。これは国際的な取り組みや通信サービス以外での取り組みも含めなければ解決されない課題ですが、できる限りの対応を推進してまいりたいと考えております。
TTC は、本年10 月に創立40 周年を迎えます。これまで多くの皆さまにご支援、ご協力をいただき、誠にありがとうございます。昨年は、IOWN GlobalForum で検討された技術の国際標準化を行うIOWN GF専門委員会を設立する一方、oneM2M への会員企業参加終了に伴い、oneM2M 専門委員会の活動を終了しました。この40 周年を機に、改めてITU-Tや海外の標準化機関等の最新動向を踏まえ、TTC 内の推進体制や新テーマ・新興技術対応など標準化推進活動を見直してまいります。
昨年10 月には、インド共和国(ニューデリー)で国際電気通信標準化総会(WTSA-24)が開催されました。WTSA-24 では次期研究会期(2025 ~ 2028年)の研究体制が確立されましたが、日本から提案されたSG9(音声映像コンテンツ伝送及び統合型広帯域ケーブル網)とSG16(マルチメディア及び関連デジタル技術)の統合案が承認され、16 年ぶりにSG(研究委員会)が統合されることになりました(統合されたSG はSG21(マルチメディア、コンテンツ配信及びケーブルテレビの技術)となります)。また、WTSA-24 では、AI、メタバース、DX、車間通信、次世代の標準化活動者の育成等に関する新たな決議が採択されました。日本は、これら国際標準化への対応方針に関して、ITU-T の組織体制変化に対応したタイムリーで適切な対処が必要です。TTC としても、日本提案の新技術の標準化も含めITU-T の国内審議機関としてサポートしてまいります。
TTC では、2023 年度にキャパシティビルディングアドバイザリーグループ(CBAG)を設け、1年間かけて次世代の標準化人材育成の検討を行いました。昨年からその検討の具現化に向けた活動を官民で推進しておりますが、本年も引き続きこれらの取り組みに貢献してまいりたいと思います。また、2025年度から若手標準化活動者を対象とする表彰(情報通信技術標準化奨励賞)を始めます。会員各社等において活躍が期待される次世代の標準化活動者のご推薦を宜しくお願い致します。
このほか、女性標準化活動者との意見交換会、APT の支援によるアジア太平洋地域の標準化人材育成研修、次世代の標準化人材のインターンシップによる支援、標準化シニアエキスパートからの活動支援等、TTC としての活動を持続的に進めてまいります。
TTC は、海外の標準化機関等との国際的な連携も進めております。韓国の標準化機関であるTTA との間では、昨年6月に人材育成をテーマとしたワークショップを韓国で共催し、11 月に人材育成での連携を含むMoU を再締結しました。
また、様々な海外の標準化機関等の方がTTC を来訪されたのを機に、これら機関等との連携強化を図りました。昨年9月には、Wi-SUNAlliance との間で改定MoUを締結しました。また10月には、Digital Twin Consortium (DTC)会長、ETSI 理事長がそれぞれTTC を訪問され、有益な意見交換を行いました。
TTC は、中立的な標準開発機関として、経験豊富な標準化エキスパートの活躍の場であるとともに、次世代のエキスパートの育成や、活躍のきっかけ、モチベーションの維持・向上の場として機能することを目指しています。それぞれの企業内だけでは実現できない標準化人材の活躍の場としても、ぜひTTC を活用いただければと存じます。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。本年の皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたします。