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第5回APT WTSA-24準備会合

  2024年8月19日(月)から8月23日(金)まで、タイのバンコクにて、タイ王国国家放送通信委員会(NBTC:National Broadcasting and Telecommunication commission)主催で、第5回APT WTSA-24準備会合がハイブリッド形式で開催されました。21ヵ国の主管庁、20の賛助会員、3つの関連国際機関から対面での参加者172名を含め256名が参加しました。主管庁の上位参加国は、タイ43名、中国41名、インド25名、韓国18名、カンボジア13名、マレーシア10名、日本9名(5名)でした。日本からは、総務省通信規格課の斎藤永課長を団長(HoD)とし、賛助会員の参加者は、KDDI4名1名、NICT3名、NEC2名1名、NTT2名、NTTドコモ1名、OKI1名、TTC4名3名でした。【(現地参加者数)】

  本会合は、本年10月15日から24日までインドのニューデリーで開催されるWTSA-24(世界電気通信標準化総会:4年に1回開催されるITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)の総会)に向け、APT(アジア・太平洋電気通信共同体)の最終となる準備会合で、アジア太平洋地域としての共同提案(ACP:APT Common Proposal)のPACP(Preliminary APT Common Proposal:仮APT共同提案)を確定しました。

1. プレナリ概要

  APT近藤勝則事務総局長、APT WTSA準備会合議長Hyoung Jun Kim氏、本会合を共催するタイのNBTC事務局次長Trairat Viriyasirikul氏、NBTC委員長Sarana Boonbaichaiyapurck氏から挨拶がありました。国際機関および他地域機関、ITUのTSB、WTSA開催国であるインド政府、RCC(Regional Commonwealth in the field of Communications(電気通信地域連邦))、CEPT(European Conference of Postal and Telecommunications Administrations(欧州郵便通信主管庁会議))から活動状況が報告されました。

第5回APT WTSA-24準備会合 集合写真
第5回APT WTSA-24準備会合 集合写真

2.各WG会合での主な議論

2.1 WG1(作業方法:議長 山本浩司氏(日本:NTT))

  8つのPACPs草案(決議1(ITU-T手続き規則)、7(国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)との協調)、22(WTSA間のTSAG権限)、40(ITU-T作業の規則的側面)、44(発展途上国と先進国との間での標準化格差の是正)、55(ITU-T活動におけるジェンダー平等の促進)、67(連合の公用語のITU-Tでの平等な使用およびITU-T標準化活動における次世代専門家の関与強化の新提案)および、前回の会議での決議80(ITU-T出版物作成へのメンバの積極的参加の推奨)がPACPsとして承認されました

2.2 WG2(組織構成:議長 Kangchan Lee氏(韓国)

  3つのPACPs草案(決議2(ITU-T SGの責任及び担務)、78(e-healthサービスへのアクセスを向上するためのICT活用と標準)、99(ITU電気通信標準化部門SGの組織改革の検討))が承認されました。

2.3 WG3(規制/政策と標準化関連事項:議長 Li Cheng氏(中国)

  33件のPACPs草案(決議20(国際電気通信番号、ネーミング、アドレス付与及び識別資源の割当と管理手順)、29(国際電気通信番号ネットワークにおける代替通信手段)、47(国別コードトップレベルドメイン)、50(サイバーセキュリティ)、52(スパムへの対策/対抗)、58(発展途上国向けのCIRT機能設備の促進)、60(識別/番号システムの進化とIPベースのシステム・ネット枠との統合に向けた検討)、61(国際電気通信番号資源の悪用及び誤用への対策/対抗)、64(IPアドレスの割当及びIPv6への意向と普及の促進)、65(発信番号の送出、発信回線特定と発信者情報特定)、70(障がいや特別ニーズを持つ人々のための電気通信/ICTのアクセシビリティ)、72(電磁界への人体ばく露の測定及び評価に関する研究)、73(ICT、環境及び気候変動)、76(適合性及び相互接続性試験、発展途上国支援、将来的なITUマークプログラムの実現に関する研究)、77(ITU-TにおけるSDNの標準化活動)、79(電気通信/ICT機器から生じるe-wasteの扱いと管理における電気通信/ICTの役割及びその手法)、84(電気通信/ICTサービス利用者の保護に関する研究)、88(国際モバイルローミング)、89(金融包摂ギャップを埋めるためのICT利用の促進)、90(ITU-Tにおけるオープンソース)、92(IMTの非無線分野に関するITU-T標準化活動の強化)、93(4GとIMT-2020及び後継網との相互接続)、94(クラウドベースのイベントデータ技術のためのITU-Tの標準化作業)、95(サービス品質に関するベストプラクティス及び政策への意識を向上させるためのITU-Tイニシアチブ)、96(電気通信/ICT装置の偽造対策の ためのITU-Tの研究)、97(移動体通信端末の盗難対策)、98(世界的な発展のためのIoTとスマートシティ・コミュニティの標準化の強化))および新提案(AI、重要インフラ、ITS、DX、AI)が承認されました。ただし、AIの安全性と信頼性に関する決議案に対しては、日本とオーストラリアからPP決議214で十分である懸念が示されました。

  各WGで承認された45のPACPsはプレナリで承認されました。

3.NOW4WTSA24研修

  8月20日午後にはNOW4WTSA24研修のセッションが開催されました。NOW4WTSA24は、WTSA-24においてGender Inclusivityを奨励する活動で、WTSA-24に関して次の4つの目標を掲げています。

①   女性参加率35%以上
②   ジェンダーバランスのとれた代表団の増加
③   代表団長の女性の増加

④   次4年間の会期におけるITU-T主要ポストに指名される女性の増加

  研修セッションでは、APT地域のNetwork of Women (NOW)の代表である永沼美保氏(NEC)らが講演しました。詳細は10月中旬発行のTTCレポート2024年度No.3秋号にて研修に参加された西尾美哉氏より報告される予定です。また、WTSA-24では、会期中の10月17日にNOWのイベントの開催が予定されています。​​​

NOW4WTSA研修前に実施されたNetworking Breakfast日本参加者
NOW4WTSA研修前に実施されたNetworking Breakfast日本参加者

4.ACP承認投票結果

   本会合で承認された45件のPACPについて、APT加盟国(38ヵ国)に対して8月26日から9月20日の期間に承認照会(APT Member Consultation)が実施されました。承認条件は加盟国の25%以上が賛成し、50%以上が反対しないことですが、投票の結果、45件全てのPACPがACPとして無事承認されました。

  各ACPの日本からの課題担当者(Focal Point)は、決議2(正)、99(正)、80(副)をKDDIの河村圭氏、決議7(副)をNTTの中島和秀氏、決議55(副)をNTTの原美永子氏、決議50(副)、84(副)をKDDIの磯原隆将氏、決議70(副)、新提案:車通信(副)をOKIの山本秀樹氏、決議89(副)をKDDIの本堂恵利子氏がそれぞれ務められます。

5.APT地域のWTSA-24役職者候補指名

  ITU加盟の193ヵ国で構成されるWTSA会合においては、世界を6地域に分割した地域電気通信機関ごとの事前審議を経てそれぞれWTSAに共同提案を行います。WTSAで議事運営を行う議長や副議長などの役職者は、各地域から候補者を指名することになっていますが、APT地域からは表1の役職者候補を指名することで合意されました。

表1 APT地域からのWTSA-24役職者候補

WTSA-24における役職 議長 副議長
WTSA-24総会
Dr. Hyoung Jun Kim (韓国)
Committee 1(運営委員会)
(Note: Members of Committee 1 consists of the Office Bearers of the WTSA-24)
Committee 2 (予算管理)
Mr. Sanjiwan Sinha(インド)
Committee 3(作業方法)
Mr. Kangchan Lee (韓国)
Working Group A of  Committee 3(WG3A)
Ms. Minah Lee (韓国)
 Working Group B of        Committee 3(WG3B)
Mr. Wu Tong (中国)
Dr. Ahmad Reza Sharafat (イラン)
Committee 4(作業計画)
永沼美保 (日本)
Mr. Avinash Agarwal (インド)
Working Group A of
Committee 4 (WG4A)
Mr. Li Cheng (中国)
Dr. Alireza Yari(イラン)
Working Group B of
Committee 4(WG4B)
Dr. Heung Youl Youm (韓国)
Mr. Qu Zhicheng(中国)
Committee 5(編集委員会)
Ms. Cheng Ying (中国)

6.今後の予定:APTからWTSA-24参加される方への関連情報

  WTSA-24会期中(10月15日から10月24日)の、APTの対応は、APT調整会合とAPTポータルサイトを活用して行います。
  
APT調整会合は、現地時間の13:30-14:30にRoom MR09で実施されます。会合スケジュールは、https://apt4wtsa.apt.int/index.php/meeting-schedule/で確認してください。
  APTポータルサイトは、https://apt4wtsa.apt.int/で参加登録のうえご活用下さい。
  WTSA-24のモバイルアプリケーションは、“DELHIWTSA24”を検索してダウンロードして下さい。
  サイドイベント等の詳細情報は、https://www.delhiwtsa24.in/ituwtsa/で確認して下さい。
  現地参加者のホテルから会場間の送迎バスについては、https://www.delhiwtsa24.in/ituwtsa/#/shuttleroutes?lang=enを確認して下さい。