マレーシア第20回ADF会合およびCDC23会合参加、MTSFBとのMoU締結報告
2023年10月9日、10日に第20回ADF（APT・ICT開発フォーラム）会合がMCD（マレーシアデジタル調整委員会）とMCMC（マレーシア通信マルチメディア省）のホストにより、マレーシア・クアラルンプールのグランドハイアットで開催されました。続く11日には、APTとMCMCの共催でCDC23（2023年度の人材開発会合）が開催されました。また、11日の午後に、マレーシアの標準化機関であるMTSFBとの間でMoUを締結しました。
第20回ADF会合およびCDC23会合
10日のADF会合では、日本（総務省）、韓国、中国支援のICT開発プロジェクトについて報告されました。TTC BSG専門委員会とパランカラヤ大学（インドネシア）で実施した、泥炭地火災抑制のプロジェクトと関連するプロジェクトの発表や、クチン（マレーシア）でのドローンを活用した森林のモニタリングプロジェクトなど、興味深い発表が多数ありました。
昨年のADF会合はオンラインのみで実施されたため、BSG専門委員会とマレーシアサラワク大学（UNIMAS）・サラワク総合病院等とで昨年実施した病院内の人流モニタリングのプロジェクトをUNIMASの協力のもと、パネルセッションで改めて紹介しました。
11日の午前中に実施されたCDC23のセッションでは、APT近藤事務総局長がAPTで実施された5G関連の人材開発の取り組みを紹介されていました。TTCでは、本年標準化人材育成に関する時限的な検討会として、CBAG（キャパシティビルディングアドバイザリーグループ）を設立し、標準化人材に求められるスキルや若手人材育成に向けた取り組み等を行っています。また、3GPP専門委員会主催の若手対象の勉強会や、BSG専門委員会が中心となる標準化人材育成のAPT研修をを行っています。今後も、標準化のみに留まらないグローバル人材育成に持続的に貢献していきたいと思います。
MTSFBとのMoU締結
2023年10月11日午後にクアラルンプールのトレーダースホテルにおいて、マレーシアの標準化機関であるMTSFBとの間でMoUを締結しました。締結式では、MTSFBとクアラルンプール大学とのMoU締結も実施されました。MTSFBに大学とのMoU締結の数をお尋ねしたところ、既に約30の大学と締結しているとのことでした。TTCのCBAGでも若手標準化人材育成の観点等から、アカデミア連携を議論していますが、マレーシアではアカデミア連携がすでに実現されていることに驚きました。
締結式後に、“Towards Autonomous Networks Together”をテーマに記念Webinarを実施しました。TTCからITU-T FG-AN対応アドホックグループリーダのLeon Wong氏（楽天モバイル）、MTSFBからXceleius ConsultancyのDr. Norehan Yahaya氏が講演されました。Leon氏からは、自律性ネットワーク、Dr.Norehan氏からは、自動運転に関する内容の発表を頂きました。今後、具体的な連携テーマを設定して意見交換会、Webinar等のイベントを実施していく予定です。
所感
今回、APT関連の会合（ADF20、CDC23）とMTSFBのMoU締結式に参加しましたが、すべての会合等で女性の参加者が半数程度でした。日本の会合とは大違いです。CDC会合は今回APTとの共催でしたが、毎年開催されているマレーシアのイベントのようで、ICT従事者の雇用促進、人材開発を国として推進しているようでした。
ADFの会合では、以前は日本（総務省）支援のプロジェクトだけでしたが、韓国、中国も同様なICT開発プロジェクトを実施しています。実施内容も以前に比べると、単純なネットワークインフラ構築から、社会課題解決目的に主眼を置いたネットワークインフラ構築に移行しています。
近年、クアラルンプール空港から市内に向かう高速道路から見かける看板に、日本企業の広告が全くなくなってしまっていましたが、今回OKIの広告の看板を拝見して感動しました。これまで、APTプロジェクトに参加、協力いただいた企業には、プロジェクトを通じたパートナ政府や地元ステークホルダーとの連携構築が、TTCという仲介役の存在によって、ハードルが下がり、円滑に進んだ例も少なくありません。日本企業の方に、APTプロジェクトを積極的に活用して頂ければと思います。
