ITU-PP22:ITU全権委員会議2022に出席
国際電気通信連合(ITU)の最高意思決定機関である全権委員会議2022が、9月26日(月)から10月14日(金)まで、ITU加盟193カ国のうち183カ国の政府閣僚や政府関係者、国際機関や地域機関、学界、民間部門の代表者など、3,000人を超える代表者が参加し、ルーマニアのブカレストのPalace of Parliament(国民の館)で開催されました。会議の最終日には、ITUの今後4年間の戦略的・財政的計画、リーダーシップ、方向性について合意した最終文書の157の加盟国による署名が行われました。9月29日(木)、30日(金)、10月3日(月)には、2023年1月1日(日)から4年間の任期の事務総局長、事務総局次長、無線通信局長、電気通信標準化局長、電気通信開発局長、無線通信規則委員会、理事国の選挙が行われました。
選挙結果
ITUの次期事務総局長にはドリーン・ボグダンマーティン氏(米国)が選出されました。1947年に国連専門機関となった157年の歴史を持つITUを率いる最初の女性となります。事務総局次長にはトーマス・ラマナウスカス氏(リトアニア)が選出されました。無線通信局長マリオ・マニエヴィチ氏(ウルグアイ)が再選、電気通信標準化局長に尾上誠蔵氏(日本)が選出、電気通信開発局にコスマス・ザヴァザヴァ氏(ジンバブエ)が選出されました。また、4年ごとの全権委員会議の次会期の地域的に割り当てられた48の理事国が選出されました。日本は1959年以降、13回連続で理事国に選出されました。また、世界中の無線周波数の割り当てと使用を保護する独立機関である無線規制委員会の委員12人を選出しました。
選挙結果の詳細については、PP22のHPの選挙結果を参照ください。
会議構成
全体会議議長には、開催国ルーマニアの議会情報技術通信委員会の委員長であるサビンサルマシ氏が務めました。全権委員会議は、第一委員会(運営)、第二委員会(信任状)、第三委員会(予算統制)、第四委員会(編集)、第五委員会(政策および法的問題)、第六委員会(ITUの組織運営)、全体会合作業部会(公共政策に関する問題)で構成されています。
主な審議内容
会議では、2024-2027年のITUの戦略・予算計画が採択されました。ITUの四カ年戦略は、世界をつなぎ、包括的な世界のデジタル変革を推進し、2030年の国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援することを目的とした無線通信、標準化、開発作業の主要な優先事項を強調しています。
会議で合意された主要な決議は以下のとおりです。
- 人工知能 (AI) 技術を社会貢献に活用する
- 宇宙空間における信頼醸成と持続可能な開発
- デジタルトランスフォーメーションによる女性と少女のエンパワーメント
- 国防業務用の軍用無線施設による周波数割り当て
- 新しい技術が気候危機を悪化させるのではなく、どのように緩和できるか
- 技術が世界的なパンデミックからどのように保護できるか
- スマートで持続可能な都市やコミュニティのためのモノのインターネット(IoT)
PP22の最終合意文書は以下よりダウンロード可能です。(閲覧にはITUメンバーログインが必要です。)
https://www.itu.int/md/S22-PP-C-0202/en
所感
ルーマニアの首都ブカレストは、初めての訪問でしたが、会場の国民の館を筆頭に建築物の大きさに圧倒されました。10数年前の一部の情報とは、全く異なり安全で、綺麗な街並みの印象です。街には期間中、PP22を歓迎するペイントのバスが走るなど、歓迎ぶりを感じました。東欧の小パリと称されていますが、凱旋門も同様でした。
電気通信標準化局長選挙では、日本から立候補した尾上氏が選出されました。日本の代表者がITUで重要な役割を務めることは、国際社会におけるルールメイキングや諸外国の関係機関等との関係強化において重要です。TTCでは、引き続き国内外の関係機関との連携により、情報通信ネットワークの標準化やルール作り、情報通信産業の発展に貢献して参ります。
今後の予定
ITUの次回全権委員会議は、2026年にカタールのドーハで開催されます。2023年12月には、アラブ首長国連邦のドバイで世界無線通信会議(WRC-23)が開催されます。